病み相談者【d!】 (ページ16)

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木曜日。
今日は保健室に行く日だ。
せっせと支度をし、家を出る。
保健室には沢山の人が来るから、早めに登校しなくては誰かと出会ってしまう。
何時もより早く出て、早歩きで向かう。
早いせいか、人はあまり居なかった。

保健室に着いた。
ノックをすると、先生のものではない、誰かの声がした。

「はい…、入ってええで、先生居らんねん」

入ると、其処には茶髪で右側だけ伸ばしてて、深緑色の瞳をして頭にはトルコ帽を被っている人が居た。
うわぁ、特徴的ぃ…

「失礼します…」

「…あっ、もしかしてAさん？」

うぇ？！、変な声が出てしまう。
何故知っている？

「っふふ…、かんにんな、心平せんせに聞いとってん」

「えっ、ああ、そうだったんですか…、はい、そうです、私がAAです」

目の前の先輩は未だ肩を震わせ笑い続ける。
そんなに笑わなくても…

「んふ、俺は深見翠(ふかみみどり)や。よろしゅうな」

深見、先輩。
なんだか最近先輩と話すのが多いな。

「…なんで此処、来てるんですか？」

あれ？
何故？
分からないけれど、なんでかぽつり、と零してしまった。

「あああああ、勿論言いたくないなら言わなくて良いですよ、いきなりこんな事聞いて失礼ですよね…」

私が慌てて弁解するといや、と聞こえた。
やっぱり嫌だよな。こんな初対面の人に話すなんて…

「いや、話させて」

「うぇ？！あっ、はい、どうぞ」

驚きの連発だ。
話、したかったのだろうか。

「…俺、こんな見た目やさかい女みたいってよう言われるんや。俺は男やし、女になりたい、やらは思わへん。ただ可愛い物が好き、やら、女っぽい、ってだけ。なのになんでそんな言われなあかんの？」

可愛いもの趣味、か。
良いじゃないか。
こんなに綺麗な手入れされている。
本当に綺麗。
格好良いし、綺麗だし、可愛い。

「…妬みみたいなんじゃないですかね？深見先輩、とっっても綺麗だから。だから嫉妬してるんじゃ？」

「そうならええんやけどな。ん、少し気ぃ晴れたわ、あとは雑談でもしようや」

…そうならええんやけどな。
そうじゃない、と分かってしまっているのか？
私みたいな第三者には分からないけれど、深見先輩もきっと苦しんでいる。
それだけは分かる。

この後は水山先生が

「おまたせー、会議やったんや、ごめんな」

なんていって入ってくるまで雑談(主に肌の手入れについて)していた。