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都合の良い男 [Yuta] ページ22

“ごめんね

勇太の事いつも急に呼び出しちゃって。”








彼女はいつも別れ際

玄関先で靴を履く俺に向かって必ずそう謝る。

彼女は狡い。

どんなに忙しくても

好きな子に涙声で今すぐ来てなんて言われて

放っておける男なんていない事

分かってるはずだから。

でもそれでも良いと思った。

都合の良い男でも。

どんな理由であれ

俺に会いたいって言ってくれるんだから。









『大丈夫。

次いつ会える?』









“分からない。

でも今週は慧悟早いって言ってたから

また来週かな。”









結局、亜梨紗の中で俺が一番になる事はない。

いつだって俺は旦那の穴埋めだから。

携帯に表示された月曜日という文字を見て

溜息が漏れた。









彼女の事は俺の方が良く知ってるはずだったのに。

俺が物心ついた時には既に

いつも、隣に住んでいる亜梨紗が

共働きの両親に変わって面倒を見てくれた。

五歳上の彼女は俺の初恋の人で

大人になって亜梨紗を守る事が夢だった。

だけど彼女は子供の俺なんか目もくれず

二年前同じ大学だった男と結婚した。



その時全てが終わったと思った。

亜梨紗の事なんて忘れてしまいたいと。

だけど十年以上も募らせた思いは

そんなに簡単に消せるものではなかった。

間違いが起きたのは

亜梨紗が結婚して一年が経った頃。

上手くやってるように見えたのに

次第に彼女は出張の多い旦那と離れる孤独感に

耐え切れなくなり

ある日俺に泣きついて来た。



話を聞いてあげるだけで良かったのかもしれない。

彼女はきっとその先なんて

望んでなかったはずだから。

だけどあの日

俺の胸で泣きじゃくる彼女を見て

我慢なんて出来なかった。

亜梨紗は以外にも

そんな俺を拒否しなかった。



俺は別に亜梨紗の一番になれなくてもいい。

旦那がいない間だけでも

俺の事を求めてくれる彼女がいるのなら

それで充分だった。

新人アルバイト→←変わり果てた -past-



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紫樹(プロフ) - 神宮寺と主人公がどうなっていくのかすごい気になります^ ^ 頑張ってください!応援してます! (2017年3月5日 14時) (レス) id: 6e3ce78be8 (このIDを非表示/違反報告)
恋(ren)(プロフ) - りこさん» ありがとうございます! (2017年2月25日 14時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
恋(ren)(プロフ) - まいさん» ありがとうございます! (2017年2月25日 14時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 複雑ですねー。ドキドキしました! (2017年2月23日 16時) (レス) id: cd0a4f2848 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 毎回楽しみに読ませて頂いてます!更新頑張ってください!! (2017年2月20日 22時) (レス) id: 9eda4f6ff0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋(ren) | 作成日時:2017年2月11日 19時

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