悲劇の一日-past- ページ19
朱『A
そこの棚からボールとミキサー出してくれる?』
ピンクの可愛らしいエプロンを身に纏った姉と
ケーキ作りに取り掛かる。
とは言っても料理まで得意な姉は
ほぼほぼ一人でこなしていて
私は道具をとったり
たまにかき混ぜたりお手伝い程度。
それでも紫耀くんが食べてくれると思うと
嬉しくて張り切った。
お母さんとお父さんは買い出しに出ていて
家にいるのは私たちだけ。
あと数十分もすれば二人も
そして紫耀くんも加わって
きっと一気に賑やかになる。
朱『私、自分の部屋に
飾り付けのお菓子置いて来ちゃったから
取ってくるね。』
そう言って階段を駆け上がって行った姉。
机の上には完成間近のケーキと
お姉ちゃんが買って来たアロマキャンドルが並ぶ。
トイレに行きたくなった私は
リビングを後にした。
この時の私は気付かなかった。
僅かに触れた自分の手によって
キャンドルが倒れた事に。
.
.
次にリビングに戻った時には
もうそこは火の海だった。
キャンドルのそばに置いていたメモが
灰と化していて
私は目の前の光景に
ただただ呆然と立ち尽くす事しか出来なかった。
親に怒られるそう思った私は
とにかく必死で火を消そうとした。
だけど知識のない私がどうこう出来る訳がなく
炎は広がるばかりで
段々と呼吸をするのが苦しくなっていく。
私はその場に座り込んだ。
突然玄関から聞こえる声。
ドアを開けて入って来たお母さんの顔は
見たことの無いくらい動揺していた。
私と目が合った瞬間放たれた言葉は
予想通りのものだった。
“朱里はどこ?”
二階を指さした私を横目に
お母さんは迷わず上に走っていく。
続けてその後ろをお父さんが追う。
涙なんて出なかった。
むしろこれで良かったのかもしれない。
みんな待ち望んでた事だから。
ここで死んじゃえれば
親に完全に見捨てられた現実から逃げられる。
薄くなっていく意識の中
私はゆっくりと目を閉じた。
.
『Aちゃん!』
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紫樹(プロフ) - 神宮寺と主人公がどうなっていくのかすごい気になります^ ^ 頑張ってください！応援してます！ (2017年3月5日 14時) (
レス) id: 6e3ce78be8 (このIDを非表示/違反報告)
恋(ren)(プロフ) - りこさん» ありがとうございます！ (2017年2月25日 14時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
恋(ren)(プロフ) - まいさん» ありがとうございます！ (2017年2月25日 14時) (レス) id: 4779cb5bc5 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 複雑ですねー。ドキドキしました！ (2017年2月23日 16時) (レス) id: cd0a4f2848 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 毎回楽しみに読ませて頂いてます！更新頑張ってください！！ (2017年2月20日 22時) (レス) id: 9eda4f6ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恋(ren)
| 作成日時：2017年2月11日 19時
