【降谷零】春夏秋冬の過程論【男主】 (ページ7)

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０７．朝食ページ7

「……これ全部、あなたが？」
「え、ああ、はい。簡単な物で申し訳ないんですけど。あ、それともやっぱり朝はパン派とかですか？」
「……いえ、どちらも好きですよ。」
「なら良かった。」

ニコリと笑みを浮かべて、椅子を引く。

「では、冷めないうちにどうぞ。」
そう促すと、安室は素直に従った。
「いただきます。」

その言葉と共に箸を取り、まずは味噌汁を口に運ぶ。一口含むと、思わず美味しい、と呟いていた。続いて、小鉢に手を伸ばす。どれもこれも丁寧な味付けで、優しい味がする。

「……あの、」
「はい」
「凄く美味しいです。」
「……よかった。んじゃ俺も頂こうかな。」

嬉しそうな笑顔を見せながら、Aも自分の分の朝食を摂り始める。

暫くして、すっかり完食した二人は、揃って「「ご馳走様でした」」と手を合わせた。

「本当に美味しかったです。それに、手当までしてくださって、」
「いいんですよ。俺が好きでやったことですから。」
「でも、」
「それより、」
「？」
「安室さんの怪我の方が心配なので、もしまだ痛みとかあったらちゃんと病院に行ってくださいね。」
「……わかりました。」

そうして二人は、食事の片付けを始めた。Aは食器を洗い、安室は拭いて棚へと戻す。分担して作業を進めれば、すぐにそれは終わった。

「そういえば、今日はお仕事休みなんですか？」
「え？あぁ、はい。まあ、有給休暇を使って、本当なら少し遠出の予定を。」
「へぇ、旅行か何かですか？大変でしたね、そんな日の前日にあんな……、」
「……ええ、」

そう言って、安室は曖昧な返事をした。その様子にAは、掛ける言葉を間違えたなとすぐに話題を逸らす。

「あ、そうだ、」
「？」

「せっかくだし、もう少しゆっくりしていきません？お茶くらいなら出せますよ。」
「……そうですね。折角ですから、お邪魔させて貰います。」
「どうぞどうぞ。」

──────────そうして、二人の時間はゆったりと流れていった。