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27.ファン? ページ27

「そうだ、折角お前が来たんなら、買い物に付き合ってくんね?日用品のストック欲しかったんだよな。」

たしかトイレットペーパーと歯磨き粉……洗剤はこの前買ったからあとはシャンプーかな、とAはストックが置いてある棚の中身を思い出しながら口を開いた。


「ああ、今日はやめといた方がいいぜ。」
「あ、やっぱダメ?荷物持ち。」
「いや、普段なら喜んで……と言いたいところだけど、」
「?、」

そう言って、黒羽は居間のテレビを点けて見せた。すると、画面にはニュース番組のライブ中継が表示されている。

『『キーッド!キーッド!』』
『ご覧下さい、この人集りを!あの怪盗キッドからの予告状が届いたとの事で、警視庁は厳戒態勢で警備に当たっています!』

テレビの中ではアナウンサーが興奮した様子で実況を続けている。

「……こういう事。な、今日は多分街に出るのはやめといた方がいいだろうよ。買い物どころじゃなさそうだぜ。」
「はー、怪盗キッドねえ……。毎度の事ながら見事にお祭り騒ぎだな。」
「ま、俺としては助かってるけどな〜。」

得意げに言う黒羽にAは怪訝な顔をした。
「ハァ?なんで見物客が増えてお前が助かるんだよ。」
「あ、いや、なんでもねえよ。こっちの話。」
Aに睨まれて、黒羽は誤魔化すように笑って見せるとわざとらしく咳払いをした。

「とにかく、だ。今日は家で大人しくしてた方がいいぜ。な?」
「……どうやらそうみたいだな。」
Aは渋々といった様子で頷くと、黒羽に問いかけた。


「で、お前はいつ行くんだよ。」
「へ?」
「だから、予告場所。お前いっつもキッドの現場にすぐ行くじゃん。てっきりファンなのかと……違うの?」
「い、いや、まあファンといえばそうなんだけど。」
Aに問い掛けられ、黒羽は口籠る。

Aは黒羽がキッドである事を知らない為、いつもキッドの犯行予告日に合わせて消えるこの男を『キッドの追っかけファン』だと思っていた。

「ふーん、まあ何でもいいけども。」
「あ、そう。」
Aがそれ以上深く追求しない事に安堵しつつ、黒羽は立ち上がった。

「じゃ、俺そろそろ行くわ!」
「おー。会えるといいな、キッド様。」
「そうだなー……あ、Aオメーちゃんと戸締りはしとけよ!」
「はいはい。」
Aはひらひらと手を振って、黒羽が出ていくのを見送った後で言われた通り扉に鍵をかける。居間に戻って再びテレビに目をやると、既に画面は別の話題を映していた。

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作者名:ゐるか | 作成日時:2018年5月20日 0時

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