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14.デザート1個 ページ14

「え?」
Aは振り返った。すると、安室は真剣な眼差しでAを見据えていた。

「……実は、貴方に一つ頼みたいことがある。」
「え、何ですか?」

Aは戸惑いつつも、聞き返した。
安室はAの目を真っ直ぐ見つめたまま、口を開いた。


「これから毎日、昼頃に電話をしてくれないか。」
「はい……?」

Aは素っ頓狂な声を上げた。

「ちょっ……と待って下さい。いきなり何なんですか。」
「毎回電話である必要は無いんです、連絡が取れればそれで。」
「いや、だから何で?」

「……僕は今ある事件の捜査をしている。凡そ、犯人の目星はついているんですが確固たる証拠がない。」
「え?じゃあその証拠を見つけるために、俺に毎日連絡しろってこと?」
「ええ。」
「いや、それでどうして俺が……」

安室は顔を上げて、Aの瞳を見つめた。
「……詳しい事は言えない。」
「でも急にそんなこと言われても……」
「……どうしても駄目か。」
「いや、そんな捨てられた子犬みたいな目で見られても……。」

Aは困り果てて、思わず呟いた。

「頼む、この通りだ。」

そう言って頭を下げる安室の姿に、Aは更に困惑した。


「……わかりましたよ。」
「本当か!」

途端に安堵した表情になる安室を見て、Aは言った。

「ただし条件があります。」
「っ……何だ。」
警戒するような表情に変わった安室を見て、Aは吹き出しそうになるのを堪えた。


「そんな身構えなくても大丈夫ですよ。大したことじゃないんで。」
「言ってみてくれ。」
「まず一つ。講義中は出られないこともあると思うので、そこは了承しておいて下さい。もちろんバイト中も。必要なら事前にスケジュールは送ります。」
「わかった。」
「それともう一つ。」
「……まだ何か?」

怪訝な顔をする安室に対し、その額にAはデコピンを食らわした。

「……痛っ、」
「当たり前でしょーが。詳細は聞かずに協力してあげるんすから、今度ポアロに遊びに行ったそん時はデザート1個、サービスしてくださいよ。」
「……はは、わかりましたよ。」

突かれた額に手を遣り、安室は微笑むと、車のエンジンをかけた。


「それでは、おやすみなさい。」
「はいはい、……おやすみ。」
互いの連絡先を交換しあってから、車を降りて、Aはアパートへと歩き出した。

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作者名:ゐるか | 作成日時:2018年5月20日 0時

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