episode. 16 ページ17
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めっちゃ仕事する人はスマホ2台持ちするイメージあるけど、センラさんも仕事用とプライベート用で分けてるのかな。
「できた。確認してくれへん？」
「あっ、はい」
友だちリストを確認し、「センラ」という名前のアカウントを見つける。すぐさまタップして友だち追加した。
センラさんのプロフィール設定は至ってシンプルで、凝っていない感じがイメージ通りだ。
自分も適当にしていることを思い、なんとなくほっとする。そして少しの親近感を抱いた。
……というか、ずっとバイブ音してるけど、電話出なくていいんだろうか。
さりげなくセンラさんのポケットへ視線を注ぎ、それからセンラさんを見上げてみる。
非の打ちどころのない綺麗な顔にはどこか嘘っぽい表情が浮かんでいた。
「当日怖がらせたらあれやから先に言うとくけど、行くとこ個室になると思う。ええかな」
僅かにトーンの落ちた大人しい声音が、センラさんの気持ちを表しているように感じられる。
――確かに男性と個室は普通警戒するべきだろう。
でも、相手はセンラさんだ。
「どこでもいいですよ！楽しみです」
安心してほしくて、できる限りの笑顔を向ける。
微かに響いていた音が止んだ。静寂に包まれたのは、ほんの一瞬。
「ありがとう」
センラさんは言った。その短い一言にすべてが詰まっていた。完璧の仮面が崩れ、身近になった表情からも、思いがストレートに伝わってくる。
私は胸がいっぱいになって、ただセンラさんを見つめることしかできなかった。
□■□
うらたんの車の後部座席で、スマホを操作しながら思索に耽る。
行先が全然決まらへん。普通の大学生やったら安いとこのがええんかな……けどそういうとこは個室ないんよな。だからって俺が行くとこに連れてっても居りづらいやろうし……。
ため息を吐いて何の気なしにバックミラーを見ると、そこに映る翡翠と目が合った。
「うらたんって女の子とデートしたことある？」
「あ？喧嘩売ってんのか」
「聞き方間違えた、普通の女の子相手ね。芸能界とか関係ない子」
「は？……まあ、あるな」
「あるん！？」
ガバッと体を起こして運転席のシートに迫る。
「どんなとこ行ったん？何した？てかそん時もう芸能界いた？」
「全部は言わねえ！聞きたいこと一個に絞れ！」
「えー……」
聞き出したいものの、怒らせて回答が得られなければ本末転倒だ。俺は冷静になって、一番知りたいことを尋ねた。
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作者名：冬楠 | 作成日時：2023年10月27日 22時
