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五話目だよ? ページ7



聞こえないフリも無視もこの状況では無意味な気がする。

私は振り返って、男子生徒に視線を向けた。


視線の鋭い彼は座って私を見ている。

不良っぽい、という訳でもないけれど何だか雰囲気が怖かった。

…なんか睨まれてるみたいだな。


「あ、いや…他の場所にしようかなってっ」


男子と会話するなんて久し振りだ。

後半、声が裏返ったのは多分その所為だと思う。


恥ずかし過ぎる…。

第一印象、最悪だ。おまけに歯切れも悪いし。

私の印象が悪いのは、こういうのも影響しているんだろうなぁ。

ちょっと反省、と心の中で呟く。


すると男子生徒は口角を僅かに上げながら「裏返ってるし」と突っ込んだ。

怖い印象だったから予想外の反応に、少し面食らう。


「俺がいるから、気遣ってんの?

 お前が邪魔だと思うなら退くけど。

 俺、別に飯食いに来た訳じゃないからさ」


思いがけないまさかの提案に、また面食らう。


「い、いや、気にしないでいいからっ。教室で食べるし…」


すると彼は今度は「いや、こっちこそ気にしないでいいし」と声を掛ける。

なんだか、気を遣われている…。

しかも違うクラスだからだろうけど、嫌がられないでちゃんと

目を合わせて話して貰えている。

それも男子生徒に。


今日は不思議なことが多いなぁ。

ツイている日なのかも。

小さいことなのかもしれないど、ちょっと嬉しい。


でもずっとこうもしていらない。

お昼休みが終わっちゃう。


「あの本当に私のことは気にしないでいいし、」

「じゃあ、俺も此処にいる」

「え?」

「俺が此処にいれば、お前は気遣わないで済むし。

 俺、次の時間は此処で寝てサボろうかと思ってたから。

 ま、知らない男子生徒と二人でいるのが嫌ならまた考えるけど」

「ううん!そうするよ」


そっか。

そうすればお互い気を遣わないで済むのか…。

考え付かなかったけど、彼は最善の方法を与えてくれた。


「あ、ありがとう」


私はお礼を口にして、階段の隅に腰を掛けた。


「いや、別に」


本当に何でもないかのように彼は言った。

澄田さんといい、彼といい今日は親切な人が多い気がする。

いや、きっと元々親切な人はいたんだろうな。

私が自分のことに手一杯で、見えていなかっただけなんだ。


まぁ、彼の場合は私の噂とかを知らなかったのもあるのかもしれないけど。

人のこと、見た目とか第一印象で決めつけちゃ駄目だよね。

私だって嫌なのに、彼のこと誤解してた。

みんなぁ、六話目だよぉ!→←四話目だね!



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柏木美琴(プロフ) - というか今どき学校でぶりっ子嫌われたりするんですね。私の学校は友好関係全部良かったですよ。まあ、進学校で勉強とかで忙しいから人の喋り方とか嫌がらせしている暇とかないからだと思いますけど (2021年5月16日 11時) (レス) id: 12d89760b5 (このIDを非表示/違反報告)
柏木美琴(プロフ) - 自分の思ってる価値観と世間一般の価値観が大幅にズレているからこうなってしまうんでしょうね。私も背が低いですけど上目遣いなんてしてませんよ。首の角度あげたら済む話じゃないですか。でもこういう人って価値観のズレみいつまでも直そうとしないから嫌われるんだよ (2021年5月16日 11時) (レス) id: 12d89760b5 (このIDを非表示/違反報告)
瑚桜 - 素晴らしいですね…!こんな人が居るということを改めて感じさせられました…! (2020年10月22日 19時) (レス) id: 3cd7fd4374 (このIDを非表示/違反報告)
アール - 私は"ぶりっ子”ではないですが、共感された方も多いと思える作品でした。 (2018年7月15日 2時) (レス) id: 687a55ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ− - りるりるさんにはまだ未来があります。諦めず前を向いて自分の未来を作って言ってください! (2018年3月4日 16時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空美都 | 作成日時:2016年12月20日 18時

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