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「 ちゃんと、探しなよ? 」
「 うーっす、さんきゅ。 」
机の中から引っ張りだした古典の教科書を
ヒョイっと受け取ると、
私の頭をクシャッと撫でて、
「 やっべ、せんせーくる。 」
と、
学年1厳しいと言われている
古典の女の先生がいる自分の教室へ
逃げるように帰っていった。
「 なーに、今の。 」
「 や、風磨が勝手にっ、 」
「 はいはい。いいねぇ、リア充は。 」
「別に付き合ってないからね!?」
美憂が隣で目を細めてこっちを見てくるけど、
( ほんと、ずるい )
彼は、そういう人なのだ。
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シャイに見えて、意外と恋愛体質なところ。
道を歩くときは、必ず車道側を歩いてくれるところ。
暗くなると、必ず家の前まで送ってくれるところ。
彼女でもない私に
さりげなくそういうことができてしまう。
まあ、そこに惚れたっていうのもあるんだけど。
「 ほらー、授業始めるぞー。 」
いつの間にか教室の中にいた
数学担当の男の先生の声で
散らばっていた生徒たちが一斉に自分の席に戻る。
『 また、放課後。 』
震えた携帯の通知に
思わず頬がゆるんでしまったのがバレないように
教科書を出すフリをして下を向いた。
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りん - 雰囲気がとても好きで、いいお話だなと思いました。ここまで頑張って書いてくださりありがとうございます。 (2020年3月5日 0時) (レス) id: 8fc4483935 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りゅん | 作成日時:2018年1月23日 22時