風磨25 ページ4
…
「私、風磨からたくさんのことを学んだよ。」
「ん?」
「風磨、ありがとう。」
「別に。特になんもしてないだろ。」
「いっぱいアドバイスをもらったよ。」
「気のせいじゃない?」
もう、何それ。
あれだけたくさんの助言をくれたくせに、そこでしらばっくれるわけ。
風磨、どんだけ照れ屋なのよ。
「じゃあ私、いっぱい風磨の背中を見て育ったから。ありがとう。」
「あ、そ?」
窓の外に視線を移して興味なさそうな素振り。
風磨って、随分と解り易く照れるのね。
しばらく沈黙が続き赤信号のタイミングで助手席の風磨を見ると目をしぱしぱさせて眉間に皺を寄せている。
今朝コンビニで買った袋に手を伸ばす。
「はい。ガムあげる。」
「ん?」
「今めちゃくちゃ眠いんでしょ?でももう着くから。」
風磨の目の前に差し出すと風磨は素直にそれに手を伸ばした。
「サンキュ。…ねえ。」
「なぁに?」
「もう決めた?」
「え?」
「中島か、俺か。」
「あ…。」
そうだ。
もう風磨の下について1ヶ月が経つってことは。
私は、決めなきゃいけないってこと。
健人さんの下か、風磨の下か…。
「なぁ。」
「ん?」
「俺んとこ来れば?」
「へ?」
「白、黒どっち?…ってね。」
「ふう――」
名前を呼ぼうとしたタイミングでナビが目的地周辺に近づいたことを知らせる。
「あー、このガムのCMもうちにくんねぇかなぁ。中澤さんに言ってみっか。」
そのまま話をそらされたけれど、そう言いながら窓の外に視線をやる風磨の耳が赤くなっているのを見てドキドキする。
もしかしたら私の耳も同じようになっているかもしれない。
からかってくるときのちょっと生意気な口元。
美味しい物を食べている時のあどけない表情。
仕事のアドバイスをくれるときの真摯な姿。
屈託なく笑う少し高くなる声。
風磨って…。
こうして。
風磨との1ヵ月は幕をとじる。
公園の駐車場に車を停めて、いざ撮影へ。
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てる - 初コメです!すごい好きですこの物語。少し切ない感じがグッときて、続きが…楽しみです!これからも頑張ってください!応援してます!! (2020年4月19日 0時) (レス) id: e13689c5fb (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - 初コメです。大好きなお話しで続きが気になって気になって。お忙しいと思いますが、続き楽しみにしています。何度も読み返しながら… (2020年1月8日 19時) (レス) id: 7fd6e6ac97 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます!お返事が遅くなって申し訳ないです。更新がなかなかできてませんでしたが、また更新しましたのでよろしくお願いします。最後まで頑張って書きますね! (2019年12月5日 14時) (レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - Twitterフォローさせて頂いてます!初めまして!最後まで楽しみにしてます(^^) (2019年10月23日 13時) (レス) id: 7123fab471 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - ゆゆらゆさん» ありがとうございます。全然更新できていなくて心苦しいですが、、きちんと完結させられるように頑張ります!! (2019年8月31日 1時) (レス) id: d3ad2b2239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチ x他1人 | 作成日時:2019年8月10日 11時