年下上司に振り回されています-fmkn

風磨12 ページ40

…


「風磨、今、制作会社から今日の打ち合わせ時間を１時間早めて欲しいって連絡があったよ。」


「10時からはクライアントのところだよな。…間に合うかな。」


「環状線の集中工事は明日からだから道は混まないと思う。HP確認したら今のところ道路状況に問題はなさそう。ただ昼ごはんはとれるか怪しくなるけどね。」


「そう。俺はいいよ。Aがいいならそれで。」


「ドライブスルー出来そうな何かあったらそれで済まそう。私から先方に連絡入れておくね。」


そう告げると風磨がじっと私の顔を覗き込んだ。


「…A、前職は事務って聞いたけど。」


「前職？うん、そうだけど・・・？」


「仕事内容って違う？」


「うん、全然違うよ。前は安定はしていたし、お昼ご飯を食べ損ねるとかもなかったかな。でも今はめっちゃ忙しい。」


「・・・で？」


「時間に追われるけどゼロから物を作り出してそれがどんどん形になっていくのっておもしろいなって。毎日わくわくするよ。」


「・・・そう。」


「活気があっていいよね。目まぐるしくて充実してる。どんどん上を目指せるし。」


「うん。」


「風磨、２年目だけど実力で認められて任されてるわけじゃん。そういうのってよそでは年功序列が一般的でなかなか難しいじゃない？」


「・・・。」


「私も早く風磨に追いつきたいよ。いや、追いつく！」


「Aさ。」


「ん？」


「向いてんじゃない？」


「・・・え？」


「この仕事。」


「ほ、本当？」


「俺は、そう思う。・・・先方に連絡よろしく。」


言い残して席を立った風磨。

耳、赤くなってますから。

照れないでよ。こっちまで照れるっての。



その日の仕事は気持ち的にはお祭り騒ぎだったけれど普通の顔して見せた。

だって、前言撤回されるの嫌だったから。

風磨、少しは認めてくれたって思っていいんでしょ？

私、頑張るから。

凄ぇじゃんっていつか言わせるから。

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