年下上司に振り回されています-fmkn

風磨 ページ29

…


これからの１ヶ月は菊池さんにお世話になる。

菊池、風磨さん。

歳は健人さんの１年下って聞いた。

菊池さんは名古屋支店のチームとの仕事で長期出張に行っていて初日に挨拶して以来ずっと会えていなかったんだよね。

２年目でそんな大きな仕事に関わっているんだ。





教えられた席に向かうとサラサラストレートヘアの後頭部がくるりとこちらに振り返った。


「あの、改めましてAAです。よろしくお願いします。」


「中島から引き継いでCM撮影の手前までが俺の仕事。」


「菊池さんは2年目なんですよね？」


名古屋への出張にしたってそうだけど新卒2年目でもう健人さんから引き継いだ先を一人で任されてるわけ？

この人も相当できる人なんだ。

私もなんとかついていかなくっちゃ。

そしてすぐに追いついて肩並べて働けるようになりたい。



「で？」


「え？」


「はぁ。あんたの席、そこね。」


ため息の後、顎で隣の席をさされて見たけれど、いや待って？

なんか机の上に荷物凄くない？

ファイルや綴じられていない資料と思われる書類の山。

これ絶対、この人のやつじゃん。

ってか、あんたって言った？


「A。」


は・・・？

よ、よびすて？

今、私の名前よびすてした・・・？

あんたの次はよびすてって・・・。


「何でしょう…。」


「足引っ張んないでね。」


「え。」


「あと、好きになんないでね。」


「は？」


好きに・・・なんないでね・・・？


「面倒だから俺のこと好きになんないでね。」


「・・・ハイ。」


あーあーなるほどね。

確か背も高かったし？

そりゃあ稀に見るイケメンってやつだよね。

でも、でもね！？

私にだって選ぶ権利はあんのよ。

あんたみたいな小生意気なクソガキ、絶対好きになんかなんないから！！！

面接で課長が言ってた不愛想でちょっと生意気なやつって菊池さんのことだ、絶対。

これのどこがちょっとなの…。

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