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「ごめんAちゃん!このこと風磨くんには……」
『言わないよ。その代わり、わたしが知ってることも風磨には言わないで。お願い。』
「うん……それはもちろんだけど、」
意外とわたしは冷静だった。
最初から分かっていたのかもしれない。
だって、顔も仕草も話し方も、あんなに似ている人なんてそういない。
でも、彼が風磨だと信じたくなくて、わたしは別人だと思い込むようにしていたんだ。
『ねぇ、ショウくん。わたし風磨に、ううん。フウさんの客になる。』
「……え? どうしてそんな、」
『すきなの、風磨のこと。』
「いや、それはいいんだけど、別にフウさんに近付かなくたって、Aちゃんは風磨くんと知り合いで……」
明らかにテンパっているショウくんを見て、
言葉足らずだったなと反省し、ひとつひとつ話を始めた。
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『わたしね、風磨には振られてるの。
どれだけ頑張ってもきっとダメ。 もう、素の風磨に想い伝えるの、怖くなっちゃったや。』
「Aちゃん……」
『だから、風磨だけど風磨じゃない、フウさんに……』
_________嘘でもいいから愛されたい。
『お金出す客の言うことだったら聞いてくれるんでしょ?』
「なんでも聞けるわけじゃないけど……少しでも喜んで帰ってもらいたいとは思って接するよ。」
『ならそれでいい。』
「でも。そんなことしたってAちゃんは幸せになんか、」
『今こうやっててもわたしは幸せじゃないよ。それなら、どれだけ歪んでても偽りでもいいから愛が欲しい。』
きっとこの頃からわたしは歪み始めていたのかもしれない。
偽りの愛なんてものが、心を満たすわけがないのに。
「そっか、無理はしないで。」
無理はしないで、と言ったショウくんの言葉の意味も、今はまだ分からないでいた。
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ひかる - 久しぶりに風磨メインの話を読んで、セクゾなら風磨推しな私はキュンキュンしました笑 展開は切なくもどかしい感じだったのに最後は意外とあっさりくっついちゃったから、その後の二人を見たいなぁなんて笑 (2018年10月28日 21時) (携帯から) (レス) id: 075c6f1d28 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - Fukaさん» ファンだなんてそんな風に言って頂けて嬉しいです( ; ; )!機会があれば続編もかきたいと思っていますのでその時はよろしくお願いします。 (2018年8月1日 21時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
Fuka - このお話大好きです!!続編見たいです!私は、るるさんのファンです! (2018年8月1日 19時) (レス) id: 1cbdf53904 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ゆんさん» ゆんさま*コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、ほんとにとっても嬉しい限りです!応援のお言葉をバネにして新作も書き上げていきますので是非ご覧下さい。 (2018年7月17日 7時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさま*コメントありがとうございます!続編のお声を頂いたのは初めてでとても嬉しい気持ちです!いつか続編を書く時がありましたら、その時はまた読んでいただけると嬉しいです! (2018年7月17日 7時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2018年6月25日 22時