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TH「ねぇ見て」
ってテヒョンは、
履いている革靴を私に向けた。
革靴にはタイヤの跡のような
擦れた跡があった。
TH「空港に来る前、
グガが車椅子で俺の足をひいたんだ」
『え？』
TH「Aを頼んだよって言ったら、
“もうAのことなんて好きじゃない”って
グガが言ったの」
テヒョンは愛おしそうに、
自分の革靴のその跡を見つめてた
TH「”俺にとってAは過去の人だし、
Aを幸せにできるのは
ヒョンだけです”って。でもね、
俺にとってはAの幸せも、
ジョングガの幸せも、
同じくらい大事なんだ」
『………、』
TH「俺がAと結婚して幸せな家庭を築くってさ、俺だけこんなに恵まれてていいのかなって
グガに言ったんだよ。
……そしたら、轢かれた」
『え、？』
TH「ふふ。マジだよ。
“俺とAをくっつけさせようってのは、
俺に対する同情だったんですか？って。
車椅子で、かわいそうな俺に、
せめて彼女くらい譲ってあげようって
ことですか？ふざけんな”
って言われた」
『同情、』
TH「心のどこかでは、
そう思ってたところはあったんだ、正直。
俺がこんなに恵まれてて、
グガだけこんなに不幸が続くのは
何でだろうって。
馬鹿だよね。俺ってなんて傲慢なんだろう」
『……そんなこと、
TH「グガが最後に言ったんだ。
“俺が事故にあったのも、
ヒョンとAが惹かれ合うのも、
誰の責任でもないし、
誰のせいでもない。”」
って私の顔を改めて
じっと濡れた目で見つめた。
その瞳は、ほんとうに美しく澄んでいた。
TH「その言葉に救われた。
もう何か理由をつけて、
逃げる事はやめようって思った。」
ふう、って深呼吸して、
テヒョンが言う。
TH「ごめん、遠回りに色々言ったけど、
言いたいことなんて一つだけなんだ」
テヒョンは私の左手の薬指にある
指輪を、その長い指先で
すっ、と撫でた。
.
.
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.
TH「イエス、だよ」
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chi134340(プロフ) - はじめまして 久しぶりにこちらの作品を読ませていただきました。初恋の切なさ，儚さに胸が締めつけられました。大好きです。こんな素敵な作品を書いてくださってありがとうございます。これからも応援しています。 (8月28日 20時) (
レス) id: 2f5b0c03f1 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - この作品本当に素敵ですね、マジで涙出そうだったけどちゃんと耐えました！（なんの報告かわかりません） (8月10日 11時) (レス) @page36 id: 6f7661d487 (このIDを非表示/違反報告)
やきにくさん(プロフ) - かれんさん» かれん様 そのようなニュースがあったんですね…。世間知らずでごめんなさい、、多少海外の映画を参考にしましたが、完全フィクションです。 (2022年8月22日 22時) (レス) id: a5db14d0d3 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - 日比谷線の脱線事故を題材に書かれてますか？？ (2022年8月20日 10時) (レス) @page36 id: c19a77d80d (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - 誰の視点にたっても切なくて苦しくて、儚い。絶対に正しい答えなんてないけどほんとにみんなに幸せになってもらいたいと思いました。涙腺崩壊、大好きなお話です (2022年6月22日 1時) (レス) id: c19a77d80d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2020年12月28日 23時
