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TH「おはよ」
『おっ………おっ!おっ、おはようございます』
挙動不審な私をみても
テヒョンさんは笑ったりしなかった。
そのまま私をスルーして、カウンター席に座った。
『前の!助けてもらったお礼に、お望みのドリンク作ります!
そして奢ります!!』
TH「……雨なのに元気だね?」
『テヒョンさんが目の前にいますから!!』
TH「声でかいよ、うざい」
『えぇ』
うざいって言われてへこんでる私を見て、
テヒョンさんは言葉と裏腹に
優しく微笑んだ。
TH「うそ。別にうざくない。でもちょっとうざい」
『えぇ、どっちですか!』
話せば話すほど。
私が想像してたザ・アイドル、「V」さんと
実際の「キムテヒョン」さんってなんか違うなって。
『……テヒョンさんでも、
「うざい」とか、そういう
くだけた言葉使うんですね、』
TH「嫌いになった?」
『いや、むしろ、好きです。むしろ超えて、
めちゃくちゃストライクです。ギャップというか』
TH「……そう、」
『今日もいちごジュースですか?』
TH「え?あ、うん」
梅雨でどんよりした朝に、
気だるそうなテヒョンさんの
モサモサしたパーマの黒髪が
かなり風情がある。
一句書きたくなるレベル。
TH「ねぇ、質問していい?」
テヒョンさんは突然私にそう言った。
こうやってみると、
テヒョンさんってやっぱり
リアルでも下まつ毛が長い。
『はい?』
TH「俺って、スターじゃん?」
『え?……そう、ですね?』
話の意図が全くわからない。
テヒョンさんは間違いなくスターだけど、
何が言いたいんだろ。
TH「好きとか愛してるとか数億回言われてるし、
もう慣れてるし、ありがたいことだけど習慣っていうか、
挨拶っていうか」
『そう………ですよね?』
TH「そもそもファンの数とか数えられないくらい
たくさんの人に愛してもらってるわけだけど」
本当に不思議そうに、
自分でもわからないって、
自分に呆れるみたいに、
でも真剣に。
TH「じゃあなんで」
その数秒、時が止まったみたいに。
TH「じゃあなんで、
俺は
君に”好き”って言ってもらえることが
こんなにも嬉しくて
でもこんなにも苦しいんだろう?」
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作者名:やきにくさん | 作成日時:2022年6月12日 0時