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ナムジュンさんがカフェから出て行った時、
私はその後ろ姿を見つめながら、
なんとも言えない気持ちになって、
閉店作業に取りかかった。
やっぱりナムジュンさんは無防備だ。
私がナムジュンさんが飲んでたマグカップの
口がつく部分を舐めまわすようなへん たいだったら一体どうするんだろうか。
綿棒で採取してジップロックに詰め込むようなタイプのへん たいだったら一体どうするんだろうか。ナムジュンさんにはもっと危機感を持ってもらわないといけな
「随分真剣にマグカップを見つめてるね?」
『え?………うわぁ、!』
TH「…、?」
突然背後に推し。
距離感バグってるの?このかた?
めちゃ近いんだが?
焦ってる私とは反対に
テヒョンさんは穏やかに笑った。
TH「あー残念、もう閉店か。」
『あ、いや!いまから!でも!』
TH「もう23:59だよ?」
『えっ!もうそんな時間?!』
テヒョンさんが見せてきた
腕時計がちょうど、
長針と秒針が重なって。
“世界は一瞬の間 息を止める”
0:00の歌詞が頭に浮かんだけど、
私は言わなかった。
『……この世の、世界の、
誰かの、誕生日ですね、
ハッピーバースデー、なんつって。』
なんてくだらないこと言った私を、
テヒョンさんは目を見開いて見つめた。
アホな奴、とか思われたかな。
TH「……日本人の女の子って、みんな君みたい?」
『へ?』
TH「だったらいいのになって話」
テヒョンさんが私を優しく見下ろした。
画面の中じゃ、わからなかった。
こんなに、身長高いんだ。
TH「今日はもう遅いから、また今度お店に来るね」
『あっ、はい!』
TH「それから寄り道して帰らないようにね」
『はい!』
心臓バクバクからの
テバッテバッからのパクパク、なんつって。
テヒョンさんを見つめた私の目は
明らかにテヒョンさんに恋する女の目に
なってただろうし、
そんな私の視線にきっと、
テヒョンさんだって気づいちゃったから、
だから、迷惑がって、
早く帰っちゃったのかな。
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作者名:やきにくさん | 作成日時:2022年6月12日 0時