YG ページ10
JN「お弁当、？」
YG「え？あ、いや、これは、」
JN「自分で作ったの？すごいじゃん。」
昼休憩、
テラスで弁当を広げる俺に、
ジンヒョンは穏やかに微笑んだ。
JN「台風、終わってよかったよね」
昨日の荒々しい天気とは違って、
今日は快晴だった。
テラスの木が
ジンヒョンの顔に影を作った。
ジンヒョンは、まったく、
絵の中の人みたいだ。
YG「ヒョン、食べんのそれだけですか？」
JN「んー、なんか食欲なくってね」
ジンヒョンは持ってるアイスコーヒーを
ユラユラと揺らした。
Aが死んでから
明らかにやつれた。
逆に俺は
幽霊のAに料理を教えてもらってるおかげで
不健康生活から抜け出し、
肌ツヤも良くなった。
そんな俺とジンヒョンを
周りの人間は嫌な目で見つめてくる。
“ソクジンさん、ユンギさんの奥さんと
仲良かったらしいから。
あんなにやつれて。”
“夫のユンギさんのほうが生き生きしてるって
どうゆうことよ”
別に何を言われてもどうでもいい。
俺は幸せだから。
幽霊のAとの日々が、
ささやかで幸せだから。
JN「あーもう、自分が嫌になるなぁ」
突然ジンヒョンがそう言ってため息をついた。
YG「何がですか？」
Aと作った豆腐ハンバーグを
頬張りながら俺が聞くと、
ジンヒョンは呆れたように言う。
JN「だいぶ前のテープ」
YG「テープ、？」
JN「ユンギとAの結婚式のテープ、
見返してる自分が嫌になる。
彼女を忘れていく自分が嫌で」
YG「…、」
JN「ごめん、ユンギに言うことではなかったね
困らせるつもりはないんだ」
ほんとごめん、
とだけ言って席から立ち上がろうとする
ヒョンを引き止めた。
箸で切った豆腐ハンバーグを
ジンヒョンの口に近づけた。
YG「食ってください」
JN「…………………う、まい、けど？」
って驚いたように、
突然のことで動揺したように
言うジンヒョンを見て
思わずほおが緩んだ。
YG「Aが、俺に、教えてくれたレシピで、
作ったんです」
.
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2021年7月31日 22時
