YG ページ31
『まぁ、いいですよ。
結婚して差し上げますよ」
って、勝ち誇ったように笑ってて。
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YG「大事に、できなくてごめん」
夢を見ながら、
俺はリアルにそう呟いたんだと思う。
自分の声が自分の耳で、ちゃんとそう、
聞こえる。
目の前のAは、
俺が恐る恐るAの薬指にはめた指輪を
眺めて、綺麗って言う。
情景が噛み合ってない。
これ、ほんとに夢か？
YG「病気のこと、
なんで言ってくれなかったの？」
『言ったら、
捨てられた猫みたいな顔するでしょ？』
プロポーズしたときは病気のことを知らないから
やっぱりこれ、夢だよな。
なのに、Aの匂いがする。
少しだけあたたかい。
すぐそばにAが居る気がする。
『私が死んだのはユンギのせいじゃないよ。
誰のせいでもないよ。
ただ病気が治らないって聞いて、
もういつ死ぬかわかりませんって言われて、
じゃあ自分で死んじゃおって、
思っただけ。自分勝手でごめんね』
YG「ふざけんな、」
『でもどうせ長く生きられなかったよ、私』
YG「そういう問題じゃない、まじでふざけんな、
一発殴らせろ」
『ふふふ、もー、怖いなぁ〜』
また俺は頼りなく泣いてた。
『ユンギ、手。』
ずっと触れなかったのに、
やっと触れた。
Aの手。
夢なのに、リアルなその体温のせいで
俺はもっと泣いた。
YG「俺は、すごく、ほんとにすごく、
Aのことが好きだったってことは、
わかってほしい」
『うん、』
YG「好きだ、」
『わかったってば』
YG「……、」
『私の教えた料理を作って食べて、
健康に生きて。
いつもカリカリ、イライラしてちゃだめだよ、
残業もそんなにしないで、楽しく生きて。
私が恋しくなったら、結婚指輪を眺めて。
ほら、私のと一緒。
だから、私がいなくても、一緒。
ユンギの人生は長いから
別の人を愛してもいいよ、でも、
たまに私を思い出して、
やぁ、って呆れたように笑ってね』
深呼吸して、
Aは俺の目を見つめた
『ユンギ、私はあなたと生きて、
ほんとうに幸せ者だったよ』
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2021年7月31日 22時
