YG ページ29
YG「すみません、あの、」
頭が追いつかない。
でも、
言われればそうかも、なんて考えてる
自分が、もう、
人間として、人として、
もう、終わってる。
YG「仕事ばっかで、」
解剖師にこんなこと言って、
どうにもならないのに
YG「帰ってきて……
一緒に飯食うこともなかったし、
けど、帰ってきたら俺の分だけラップ………
してたから
もしかしたら、
あいつ食べてなかったのかもしんなくて」
.
.
.
.
自分でも驚いた。
何年も泣いたことがないから、
涙だってことにも、
気づくのに時間がかかった。
俺は泣いてた。
泣いたって、許されることじゃないのに。
YG「いつも、なんか、言いたそうな顔してたけど
困ったように笑ってるだけで。
ヘラヘラして大事な話は何一つしてくれなくて」
嗚咽するように泣き始めた俺に、
電話の先の解剖師が困ってる。
まじで迷惑だろうな。
けど、止まらないんだ。
涙も、後悔も、自分に対する、怒りも。
「…………お悔やみ、申し上げます」
電話が切れた。
なんでAは居ないんだ。
もしかして帰ってこないのか。
もう消えたってこと、？
どうしようもなく溢れてくる不安、焦り。
俺ってそう、
いつも自分ばっかりだ。
.
.
.
『なんなんだよ、あーくそ…………っ、』
.
.
.
.
.
.
好きだ。
そんな一言じゃ、とても足りない。
でも、
好きだ。
どうしようもないくらい。
君が好きだ。
.
.
.
.
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2021年7月31日 22時
