・ ページ17
勉強合宿とは、名ばかりで、
本当の目的は、
「クラスみんなで仲良く親睦を深めましょう」
の合宿。
2泊3日のその合宿は、
クラス単位で動き、
それぞれの活動や部屋割りは、
5、6人のグループで行われる。
私は幸いにもジェシカと同じ班で、
ぼっちは免れた。
全員がダサいネイビーのジャージに身を包み、
眠い目を擦りながら、
大型のバスに乗り込む。
ジョングクは眠そうだ。
そういえばジョングクは朝が特別弱かった。
「ねぇ、テヒョン先輩の噂聞いた？」
ジェシカは今日も真っ赤なティントを
塗りながら私に話しかける。
『………、噂？』
「女の人の連絡先全部消して、
デート全部断ってるらしい。
彼女ができたって噂だけど」
その彼女が私なんだよね、
と打ち明ける勇気はなかったので、
ふぅん、と曖昧に答えて、
私達はバスに乗った。
先に座った私に、
後から他の男子とワキャワキャしながら
乗り込んできたジョングクが
すれ違うときに
他の人にバレない様に私の手を
一瞬だけ軽く触れた。
JK「どうせまた忘れたでしょ」
って言って、奥の席に向かっていった。
軽く触れた私の手には
いつの間にか
乗り物の酔い止め薬があった。
「ジョングク、気がきくね。ってか、
ジョングクって
あんたのこと知りすぎじゃない？」
いつものようにジェシカは鼻で笑った。
そう、ジョングクは私のことをよく知っている。
私は精一杯、
自分の席から身を乗り出して
一番後ろに遠慮なく座り、
既にお菓子を食べ始めてるジョングクに、
口パクで
「ありがとう」
そう伝えた。
他のクラスメイトに
私達がかつては、
特別な関係であったことは、
気づかれたくない。
私の口パクにジョングクは、
本当に優しく微笑んだ。
そのあと何か口パクで伝えた。
でもわたしには
ジョングクがなんて言ってるか
わからなかった。
“やっぱ、なんでもない”
その口パクだけ理解して、
私はモヤモヤしたまま正面に向き直し、
バスは走り出した。
ジョングクバス動く前に飲んで。いつも飲むの遅いんだよ、 ばか。
ってジョングクのカトク。
くす、っと笑った私を
隣のジェシカは変なものを見る様な目で見る。
私はジョングクからもらった
酔い止めを飲んだ。
目を瞑った。
たくさんのクラスメイトの声が聞こえる。
……でも、変なの。
私の耳には
ジョングクの少し高い笑い声が
何よりも大きく聞こえた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LunaLuna(プロフ) - ユンギ氏、かっこいいですよね。やきにくさんに同意します。 (12月29日 17時) (
レス) @page43 id: b8a89ad3fa (このIDを非表示/違反報告)
つきこ(プロフ) - 定期的に読ませてもらっています！大好きなお話です✨具合悪い＝生理なジョングク好きです😊何度読んでも胸がギュッとなります！ (8月15日 21時) (レス) @page43 id: 449ba1617b (このIDを非表示/違反報告)
やきにくさん(プロフ) - らんさん» らん様 創作のやる気スイッチに繋がるお言葉、ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2022年8月28日 16時) (レス) id: a5db14d0d3 (このIDを非表示/違反報告)
やきにくさん(プロフ) - yokoboteさん» yokobote 様 やはり、子宮震えますよね( ˙-˙ ) 読破ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2022年8月28日 16時) (レス) id: a5db14d0d3 (このIDを非表示/違反報告)
らん - 読みながらドキドキしていました。(笑)いつもありがとうございます。やきにくさんの作品大好きです。 (2022年7月16日 15時) (レス) @page43 id: 07bebf475a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やきにくさん
| 作成日時：2021年7月7日 22時
