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『お父さん』






納骨堂の前で、
私はしゃがんで、
写真に写ったお父さんの顔を
眺めた。





『お母さんはソクジンの家で
相変わらず家政婦の仕事をしているよ。
だから、来れなかった』




お父さんは病気で死んだ。
あっけなかった。
………らしい。
なんでも、
私が生まれる前に亡くなったから。









『最近、プロポーズされたよ』


たぶん、冗談だけど。









『小さい頃は仲良かったんだけど。
なんか大人になる程、
距離ができて。
お母さんが働いてるところの
おぼっちゃんなんだ。
なんかムカついちゃうよね。
なんでわたしは』



なんで私はムカつくんだろう。









『その人は、私と違うんだ。
お金持ちなの。
私が彼と結婚したら、
今みたいに苦労しなくて済むと思う。
でもそれって、
権力に平伏すみたいで、
私は嫌なの。
……ソクジンは、なんで私に構うのかな』



足の指が冷たい。
スニーカーには穴が空いてる。
新しい靴、買いたいな。









『お父さんはどうしてお母さんと結婚したの?
教えてよ、お父さん』



「………あの、すみません。
もう、閉まる時間帯でして、」



『あ、、、ごめんなさい。』



私はリュックを背負って、
納骨堂を後にした。









眠い。

疲れた。

納骨堂から家までは歩いて30分だ。









ソクジンならきっと、

この距離をリムジンで行ってしまうんだろう。









歩こう。

私は歩いて行こう。

私には

リムジンはないけど、足と体力がある。

私はずっとそうやって生きてきたんだから。









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名無し9755号(プロフ) - 身分の違う男女の恋愛が好きで、結ばれそうで結ばれない、そんな感じがとても良かったです! (2021年8月13日 20時) (レス) id: 12d6118293 (このIDを非表示/違反報告)
チヒロ(プロフ) - 今作も最高でした。ありがとうございました! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 30626e481a (このIDを非表示/違反報告)
LuLu(プロフ) - (ここでも大丈夫ですか?ダメでしたら全然消してください!) ジンくん最っっっっ高でした。ファンには見せない領域の儚げなジンくんや、本気で思ってそうなキザなジンくんまで、読んでいて想像つきました。報われて良かったです!これからも頑張って下さい! (2021年4月14日 23時) (レス) id: 0d8bba83e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やきにくさん | 作成日時:2021年4月9日 1時

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