最果ての場所で【YG】 (ページ9)

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その日は変わらず
検温とレントゲン検査があるだけで
なんでことない1日のはずだった。

夜7時にユンギ先生との夜ご飯
を食べ終わって
売店でパック牛乳を買って
ついでに涼もうと屋上に行った時、
その人に出会った

『やっ、やぁ！ちょっと、君！
そんなところで何してるの？！
危ないよ！！』

屋上には
いつも人がいないのに
1人の男の子がいた。

男の子は
点滴をぶら下げながらも
両手を広げて
今からでもこのビルから落ちようとしてた。

危ないよ、とは言えるけど、
そんなことやめて、とは
言えなかった

だって私の声に振り向いたこの人は
すごく澄んだ大きな目で、
ちょっとだけ微笑みながら、
今からすることがまるで
正しいって言ってるみたいで
正義、そのもので、

ただ何も、言えなかった

？「君こそ何してるの？こんな時間に。
もう少しで消灯時間だよ」

『………ほんとにやる気？』

?「なにが？」

『死ぬ、の？』

?「…」

『なんのために？』

?「別にあんたに関係ないじゃん」

こんなときに限って
空には夏の星座が輝いて
ビルから見える街の夜景は
格別に美しかった。

彼の黒い髪が
風でなびく。

『私、キム・A。
君、名前は？』

JK「…………ジョングク、」

『ジョングク、ね。
死ぬ前に牛乳飲まない？
偶然イチゴ牛乳と普通の牛乳、
二個買ったんだ。
好きな方、選んでいいよ』

そう言ったらジョングクは
丸くておっきい目を
もっと大きくさせた。

JK「普通、こーゆーときって
止めるんじゃないの？」

『止めて欲しかったの？』

JK「そーゆー意味じゃなくて、」

『で、どっちがいい？
私はイチゴ牛乳がいいから
ジョングクが普通の牛乳ね。
…そこから降りてくれないと
牛乳渡せないよ。
私、車椅子で立てないし』

恐る恐るジョングクが
私の方に近づいた。

近くでみるジョングクは
美しくて、
死ぬ、なんてとてももったいないのに、
でもやっぱりどこか儚げだった。

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