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『グクが屋上から
飛び降りようとしたようにね、
私も飛び降りようとしたことがあるの』
JK「え？」
『２年前の冬かな。
余命宣告受けて、
治らない病気ですって言われて、
もう全部嫌になって。』
JK「……そうなんだ、」
『死のうって思った時、
私を引き止めてくれた人がいたの』
JK「……その人が？」
『うん、ユンギ先生だった。
まだ私の担当医じゃなかったし、
初対面だったの。
あと、正確には……引き止めてないんだけどね』
もう、２年も経つのか
ユンギ先生に出会ったのが
ついさっきのことのように思える。
『ユンギ先生ってね、ほんと、すごいの笑
今から死のうとしてる私を横目に
タバコ吸い始めて。』
JK「タバコ？」
『うん、
普通患者の前でタバコなんて御法度でしょ？
でも、誰にも言うなよって言って、
涼しい顔してタバコ吸ってた。
…医者失格って思うかもしれないけど、
私はすごく嬉しかったの」
JK「その姿で好きになったってこと？」
『うーん、その時は好きなのか
どうだったのかわからない。
でもね、
気を遣われなかったってのが初めてだった。
病気のせいで、ごめんなさいとか
大丈夫？とか言われることばっかりで、
色んな人に気を遣われてきたんだけど。』
JK「あぁ、なんかわかる気がする」
『でしょ？
……多分ユンギ先生は、わかってたんだと思う」
JK「なにを？」
『私が一番、
他人にしてもらいたい態度っていうか、行為。
私のことを患者じゃなくて、
他の健康な人と同じように
接してくれた。
すっごく嬉しかったんだ、私』
ユンギ先生が私の前でタバコを吸ったのは
あれが初めてで最後だった。
だから、私の体のことは
ちゃんと気にかけてくれてるんだと思う
職業柄当たり前かもしれないけど。
『明日もここで会おうなって言って、
私の髪の毛ぐしゃぐしゃにして帰ってたの。
その後ろ姿がとってもかっこよかった。』
明日もまた、会おうな
その一言だけで
生きようって思える私って
単純かな。
正確にいつから
ユンギ先生を好きになったかはわからない。
でも、好きなことは確かで。
『って、つまんないでしょ、こんな話』
JK「いや？俺好きだよ、恋バナ」
グクは相変わらず
デッサンなのかイラストなのかを
書いてる手を動かしながら、
そう言った。
.
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2020年10月23日 15時
