11.YG ページ11
消灯時間になって、
廊下も病室も
病院自体が暗くなる、
この瞬間、
今日一日を、
乗り越えたって達成感と
明日を迎える怖さを感じる。
白衣を脱いで、
備え付けのシャワーに入って
私服に着替えて帰る準備をする。
そして毎日してるように
1309号室の扉をそっと開ける。
Aは、
穏やかに寝息をたてて寝ていた。
呼吸の音が静かすぎて、
呼吸の為に大きく上下しない腹部を見て、
毎回俺は怖くなる。
本人の前で平気なフリをしていても、
俺はいつだって怖い。
彼女の死が、怖い。
寝ている様子を見て、
細くて柔らかくて真っ黒の髪を撫でて、
そっと病室を出ると、
これから夜勤のホソクが
病室の外で立っていた。
HS「………ヒョン、今から帰るんですか?」
ホソクが何を言いたいのかはわかるけど、
わかりたくはなかった。
YG「俺ってヒョン失格だな」
HS「え?」
YG「ホソクに一番最初に教えたことは
患者に情を移すな、だもんな。
ほんと、自分が一番守れてねぇわ」
HS「程々にした方が、
ヒョンのためだし、
Aのためだと思います」
それは、わかってるんだけど。
頭でわかってても、
実際にそうするのは
とても難しい。
YG「じゃ、帰るわ。」
HS「…はい、
ヒョンも……えっと、お疲れさまです」
言葉を濁したホソクの肩にポン、
と手を置いて、
Aの病室を後にした。
.
.
.
HS「人の心配ばっかだな、あのヒョン」
.
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作者名:やきにくさん | 作成日時:2020年10月23日 15時