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岩本side
佐久間の看病道具を持って戻れば、楽屋の入口は開いていて部屋の前にはふっか。
「ふっか？」
深澤 「ひ、！？」
「っバカ、デカい声出すな！」
俺も突然後ろから声掛けて悪かったけど、それ以上にビックリしたふっかが大声を出しそうだったから、すんでのところでふっかの口を塞ぐ。
「佐久間起きちゃう」
深澤 「ぁ、、てか照は知ってんだな」
「後はしょうたが知ってる」
俺が知ったのは偶然だけど。
佐久間にぴったり付き添うしょうたをたまたま廊下で見て、それで。
「佐久間〜、どう？少しはましになった？」
電気はつけない真っ暗のまま部屋に入る。
引き戸が開く側とは反対側の隅。
廊下の明かりも当たらないそこに佐久間が体育座りで小さくなってて。
喋る元気もないのか、ゆっくりと首を横に振る。
もともと小さいのにもっと小さく見える。
夜公演を控えてるって言うのに、あまりに可哀想で腕に顔を埋める佐久間。
そんな佐久間の肩にジャケットをかけてやる。
佐久間 「、ひかる、も、いーよ」
ゆるりと上げた顔色は暗くて見えないけど、声色で暗闇でも分かる。
佐久間 「っ、」
「吐く？」
深澤 「袋あるから吐いちゃいな」
ふっかが袋を口元にあてがった瞬間に佐久間が嘔吐いて、ぽたぽたと袋の中へ落ちる。
佐久間 「っおえ、、う、、っく、、」
深澤 「照、水ある？上手く吐けてないのかも」
背中を摩るけど上手く吐けない佐久間。
吐くのを我慢してるって感じはしないし、これはちょっと心配。
夜公演まで後5時間。
準備の時間を考えたら、実質後4時間ってところ。
「佐久間、横になる？」
深澤 「なんか欲しいもんあったら言えよ」
佐久間 「ん、、、ぁりがとう」
体育座りじゃ身体が固まってしまうから、横になった方が楽かと思ったけど違うらしい。壁に寄りかかって休む佐久間に着ていたジャケットをかけて、頭を撫でて静かに部屋を出て、引き戸を閉める。
深澤 「どう思う」
「微妙、かな」
深澤 「俺もそう思う」
「2幕のとこさ、」
深澤 「そのつもり。しょうた呼んでくるわ」
廊下の向こう側から、ラウの声が聞こえて少し騒がしくなる。
昼ご飯から帰ってきたんだなと察した。
ふっかがしょうたと戻ってきたら、2幕の掛け合いの打ち合わせをして、それで___。
あぁ、みんなにも知らせとかないとな。
finish...
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作者名：永遠
| 作成日時：2021年11月23日 14時
