いつもと違う中で ページ13
深澤side
向井 「えらい渋滞やなぁ」
目黒 「なかなか進まないね」
前も後ろも車のテールランプがずっとついてるし、進んだとしても人が歩いた時の2、3歩くらい。ほんとにちょっと。
地方ロケの帰り道で、みんな疲れてるのかいつもよりおしゃべりも少なめ。寝てはいないけど、みんな微睡んでる。
外は雪がこんこんと降り続いてて寒そう。
そんな大雪で渋滞にはまる中、佐久間の発作。
佐久間 「っ、〜」
渡辺 「佐久間？発作？」
佐久間の隣に座ってたしょうたがすぐさま反応して。
全員が慣れた手つきで対応する。
ラウ 「佐久間くん、薬これだけ？」
ラウの問いかけに答えようと口を開くけど、発作で喋ることができない佐久間。
佐久間 「はっ、」
確かにいつもの巾着袋には少ない数しか入ってない。
いつ何があってもいいように、いつもはもっと余分に入ってるのに。
なんで。
余分にあるものがないだけでこんなにもみんなの心をかき乱す。
でも焦っても仕方ないし、薬を出して佐久間に吸入させる。
渡辺 「うん？ん、」
楽な体勢まで倒された座席で苦しそうに息を吐く佐久間としょうたが何やら会話してて。
「なんて？」
今日のロケ終わりに病院の予約を取ってたのとここ最近体調が良かったから、持ってるだけで精神安定剤になりつつあった薬の量を少しずつ調整して減らしてたらしい。
薬に頼りっぱなしにはなりたくない、ってずっと言ってたもんな。
良いことなはずなのに、薬さえあればもっと安心できるのにって思ってしまう自分がいて嫌な気持ちになる。
時間を置いて何回か吸入させたけど、ロケ終わりの疲れからか、薬もなかなか効かなくて持っていた分も使い切ってしまって。
肩で呼吸をしつつも、生きようと一生懸命息を吐きだす佐久間。
一刻を争う事態なのに、渋滞にはまったことで身動きが取れず、病院に向かうこともできなければ救急車をここに呼ぼうにも来られない状況。
俺らが焦れば、佐久間にも伝わって悪化するかもしれない。
それでも焦らずにはいられない状態に、照が近くの病院まで佐久間を抱えて行くと言い出して。
「え？」
岩本 「だから俺が佐久間抱えて、病院行く」
阿部 「危ないよ」
岩本 「でも何もしない訳にはいかないじゃん」
そうだけど。
実際話し合いしてる間も佐久間は苦しんでる。
でも、佐久間も照も大切なメンバーで。
危険に晒すようなことはしたくない。
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作者名：永遠
| 作成日時：2021年11月23日 14時
