小さな約束 ページ9
「……あ。A見て。あそこの葉っぱ赤くなってる」
ユチョンの指先が示すのは、街路樹の楓の葉。
「ホントだ…。今まで気付かなかった」
毎日往復してる家と駅を繋ぐ道。
いつの間にか紅葉を始めた葉っぱを見ながら、こうして空を見上げたのはいつ振りだろう…なんて考える。
「もうすっかり秋だね｣
ふふって優しく笑ったユチョンが「行こ」って言うみたいに私に寄り添った。
私と一緒に日本に帰ってきてくれたユチョンは、あの日も今も。彼のことは何も聞いてこない。
ただ毎日、世間話をしながら私を家まで送ってくれた。
最初は遠慮していた私も「好きでやってるから、放っといて。笑」と私が家に入るまで決して帰ろうとしないユチョンにそのうち何も言わなくなって。
彼が持つ優しい空気。穏やかな口調。
そうしたものに私も安らぎを感じるようになって
こうして彼が隣にいることに、なんの違和感も感じなくなっていた。
「……あ。」
次にユチョンが足を止めたのは、小さな居酒屋の前だった。
「A。ここで飯食ってかない？」
それはいつだったか、「今度一緒に行こう」と話したことがあるお店。
常連客ばかりなのでは…と思わせるそのお店に、私は一度も入ったことがない。
「やだ…？」
私が何も言わなかったせいで不安そうな顔をするユチョン。
…そういえば私。韓国であれだけユチョンにお世話になったのに、まだなんのお礼も出来てない。
「…ううん、いいよ。そうしよ」
「良かった」笑ったユチョンに手を引かれながら、お店ののれんを潜った。
「いらっしゃいませ〜」
そう聞こえてきた声は、会社の近くの居酒屋と同じ雰囲気だった。
だけど、お店の中は想像と全然違った。
お店…っぽくない造り。
まるで、元はご自宅だったような…。
「二名様ですか？」と案内されたのは、小さなお店の一番奥にある畳のお部屋。
「なんか、いい雰囲気のお店だね｣
「うん、ほんと…」
ぐるっと首を回せばお店の中がすべて見渡せてしまえるほどこじんまりとした店内。
５脚くらいあるカウンターには、サラリーマンと思われる男性が従業員と仲良さそうに話しながらビールを飲んでいる。
「A、何飲む？｣
ユチョンに手渡されたメニュー表は
当たり前のように、お酒の名前が羅列していた。
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ユチコ(プロフ) - junk115mami13さん» junk115mami13さん。コメントありがとうございます！お気に入り作者登録も嬉しいです(；▽；)メッセージにてpassをお送りしましたので、確認をお願いします^^ (2022年6月21日 12時) (
レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
junk115mami13(プロフ) - はじめまして。作品を読ませていただきました。一度読みだしたら先が気になり一気に読んでしまいました。お気に入り作者登録もさせていただきました。PASS付き作品も読ませていただきたいのでパスワードを教えていただきたいですおねがいします。 (2022年6月19日 10時) (レス) id: 9999f52d37 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - あきさん、初めまして。コメント＆一気読みありがとうございます(^^)pass付きのお話についてですが、げんざいはCOMMEのボードかメッセージ機能を使わせていただいていますので良かったらそちらでお願いします^^ (2018年12月29日 22時) (レス) id: d9338454cd (このIDを非表示/違反報告)
あき - はじめまして。ドキドキしながら一気に読みました。メッセージがわからずコメント欄からすみません。パスワードぜひお願いします。 (2018年12月29日 12時) (レス) id: 2437eff011 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - メッセージ探したのですが、わからなくて、あきらめきれずにいます。もう一度教えてください。どこからつなげばよいですか？パスワードもう一度教えてください。よろしくお願い致します。 (2017年10月12日 20時) (レス) id: a946e94cf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユチコ
| 作成日時：2015年7月12日 16時
