会いたくて触れたくて ページ36
さっきまで明るかったはずの空は、もうすっかり色を変えていた。
お店のBGMの代わりに、聞こえてくるのは車のエンジン音や、帰りを急ぐ人々の足音。
「…もしもし？チャンミンくん？」
ジユンさんから受け取ったユノさんのスマホを耳に当てたら
｢はぁ…｣って。チャンミンくんの深いため息が聞こえきた。
『……Aさん。僕は悔しいです』
「悔しい？どうして？」
『だって…。
そこは、ユチョンではなく僕の居場所だったんです…』
それは。
チャンミンくんのその声は。
まるで、生まれたばかりの赤ちゃんに母親を取られてヤキモチを妬いてる子どものようで。
…どうしよう。
可愛い…。
『…Aさん。どうして笑ってますか』
「ご、ごめん…｣
『…いいですね。Aさんは楽しそうで。
僕は一人寂しくこっちで暮らしてるって言うのに…』
笑ってしまったことに気付かれたのにはビックリしたけど。
「一人って。
チャンミンくんの傍にはご両親だって友達だって、たくさんいるでしょう？」
慰めでも何でもない。当たり前のことを口にした私に。
『一人です。ここにはAさんがいないから…』
チャンミンくんの優しい愛情が降り注ぐ。
『会いたい…。もう会いたいです、Aさん』
…本当にずるい。
そんな切ない声で、そんなこと言われたら
「私も…」
私だって寂しくなるってわかってるはずなのに。
『あぁ…早く研修が終わって欲しいです。
そしたら僕もAさんの傍に帰れるし』
｢それに｣と続けたチャンミンくんの声がよく聞こえなくて聞き返したら
小さな声で『それに…ユチョンもアメリカに帰るでしょう…？』と呟いて。
『別に気にしてるわけじゃないですよ!? Aさんのことは信じていますから！』
焦るように言い訳した彼が
『…でもやっぱりAさんの傍には、ユチョンではなく、僕がいたいんです』
はっきりとそう言葉にしてくれて。
「うん…」
わかってる。
チャンミンくんが何を言いたいのか。私も同じ気持ちだからわかる。
ユチョンのこともダジさんのことも。
きっとお互い忘れることは出来ないだろうけど。
だけど、嫉妬…とはちょっと違う。
今、私たちが心から求めていることは
「一緒に…いたいね」
傍にいたい。触れ合いたい。
ただ、それだけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユチコ(プロフ) - junk115mami13さん» junk115mami13さん。コメントありがとうございます！お気に入り作者登録も嬉しいです(；▽；)メッセージにてpassをお送りしましたので、確認をお願いします^^ (2022年6月21日 12時) (
レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
junk115mami13(プロフ) - はじめまして。作品を読ませていただきました。一度読みだしたら先が気になり一気に読んでしまいました。お気に入り作者登録もさせていただきました。PASS付き作品も読ませていただきたいのでパスワードを教えていただきたいですおねがいします。 (2022年6月19日 10時) (レス) id: 9999f52d37 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - あきさん、初めまして。コメント＆一気読みありがとうございます(^^)pass付きのお話についてですが、げんざいはCOMMEのボードかメッセージ機能を使わせていただいていますので良かったらそちらでお願いします^^ (2018年12月29日 22時) (レス) id: d9338454cd (このIDを非表示/違反報告)
あき - はじめまして。ドキドキしながら一気に読みました。メッセージがわからずコメント欄からすみません。パスワードぜひお願いします。 (2018年12月29日 12時) (レス) id: 2437eff011 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - メッセージ探したのですが、わからなくて、あきらめきれずにいます。もう一度教えてください。どこからつなげばよいですか？パスワードもう一度教えてください。よろしくお願い致します。 (2017年10月12日 20時) (レス) id: a946e94cf1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユチコ
| 作成日時：2015年7月12日 16時
