.:*ﾟ..Fly with me 【ＣＭ】3.:*ﾟ..

試着 ページ15

店長と呼ばれていた男性がチョイスしてくれた服を試着する私に

「これはちょっと…」

「ダメ！これはダメ！｣

「ヤー！なんでこんな服ばっかり持ってくる!!｣


チャンミンくんが次々とダメ出しをする。
狭い更衣室で何度も脱いだり着たりを繰り返す私。

ダメだ、もう汗をかいてきたよ…。


ドアの向こう。
あーでもないこーでもない言い合いしていた彼らから

「ヒョンは？ユノヒョンは元気か？」

突然ユノさんの名前が聞こえてきた。

「元気ですよ。相変わらずです。今日もジユンヌナと朝早くから温泉に出かけましたよ」

「ジユンヌナ!?やっぱりまだ付き合ってたかー!!｣

……どうやらこの男性もユノさんとジユンさんを知ってるみたい。


「ええ。喧嘩しては別れるって大騒ぎして、そうかと思ったらまたくっついて」

「うはは〜！昔と何も変わってないかー！」

笑い合う彼らの過去を…、チャンミンくんの過去を知らないのは自分だけみたいに思えて

なんだか少し…寂しく思う。


試着することにすっかり疲れた頃、「こんなもんですね」納得した彼が数着を手に持って会計へと向かった。

「あの、待って…」


カバンを持って慌てて追いかけた私を彼の手がストップ！と告げる。

「ヒョン、あの服そのまま着て帰っていいですか？」

「もちろん。すごいね、これ全部プレゼント？さすがチャンミナ〜！」


からかうように笑う男性の肩を拳で一回叩いたチャンミンくんが

「じゃあこれで」

スマートにカードを出した。
　

チャンミンくんの手には大きな紙袋が３つ。

「はい、これ」

「あ、すみません」

着てきた私のスーツを入れてくれた紙袋を男性から受け取ろうと手を伸ばして

その指先が微かに男性の手に触れたとき。


「…幸せですね。チャンミナが彼氏で｣

「チャンミナは本当にいいヤツですよ」って、チャンミンくんには聞こえないような声で囁かれて。


ニコッと私に向けられた顔がものすごく可愛かったことと、チャンミンくんを彼氏、と言ってくれたことが嬉しくて


「は、い…｣思わず顔が赤くなった。


その途端、紙袋を持つ彼の腕がピクッと揺れて。


「お!?ヒョン！なんですか？僕の彼女ですよ!?ちょっかいかけないでください!!｣


真顔でそんなことを言うチャンミンくんに、「そんな勇気ないよ」男性が転がるように笑った。

映画→←彼が選ぶ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す