君の音【轟焦凍】 (ページ5)

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指示された場所は作業場のような場所だった。

そこはまだ良しとして、中から度々爆発音が聞こえるのだが、大丈夫なのだろうか。
場所、間違えてないよな…？

リカバリーガールに渡された地図を再度確認すると、やはりここで合っていた。

…取り敢えずここでうじうじしてても始まらない。

意を決し、失礼しますと扉を開けると途端ドカァァァンと大きな爆発が。
えぇと引きながら煙にむせていると、この爆発の元凶だと思われる女の子が、胸を張って立っていた。

「すみませんパワーローダー先生！またやってしまいました！！」
「いい加減にしろ発目！！この短時間で何回目だ！」
「５回目です！」

発目と呼ばれた女の子の悪びれもない様子に、パワーローダー先生は「そういうことじゃないよ…」と額を抑えている。

「大体今日は客が来るから帰れと言っただろ？」
「ああ、そういえば他の生徒を締め出してましたね」
「言い方が悪い。…まあだからお前も帰れ」
「何故ですか？普段依頼した人が来るときも私はよくいるので問題ないかと」
「訳ありなんだよ」
「そもそも、もう遅いですよ」

発目さんの指差す先には私がいて、もう来てますし、と彼女はケロリと言った。

「…気付いてるならもっと早く言いなさいよ」
「私もさっき気付いたばかりなんで。そんなことより！！」

笑顔のままくるりと方向転換し、
「訳ありというのが気になりますね！ヘッドフォンの製作依頼という事は何か音に関する個性でしょうか！是非是非教えてくれませんか？」とズンズン詰め寄ってくる彼女に、私は「ひぃぃ」という情けない声しか出なかった。

「発目いい加減にしなさい。…ヘッドフォンを依頼した子だよね？」
「あ、はい」

パワーローダー先生は発目さんを隅に追いやり、彼女は病的に自分本位なんだと言う。

横目で彼女を追えば、今はもう新しい製作に取り掛かっていた。

あのキラキラした顔から察すると、ついさっき私に詰め寄ったことや、パワーローダー先生に怒られたことなどもう既に忘れて、夢中で取り組んでいるんだろう。

…私も人のことは言えないが、彼女も中々の変人だ。