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「なあ轟、お前あの子と付き合ってんの⁉」
食堂から戻ったら、上鳴が超特急で俺に歩み寄り、聞いてきた。
机に身を乗り出し鼻息を荒くさせている。落ち着け。
「あの子？」
「いつもお前と食堂で一緒に食べてる子だよ！」
その言葉にああと納得する。
確かに男女であるから周りに誤解されてもおかしくはないだろう。
上鳴はしらばっくれるな！と更に鼻息を荒くさせたが心当たりがなかったんだ。仕方がないだろう。
「いや」
首を振ると上鳴は叫び声を上げた。顔がすごいことになっている。取り敢えずうるさい。
「お前付き合ってもない子と一緒に飯食うのかよ⁉」
本当に騒がしい。耳元でそんな大声を出さないでくれと伝えても聞きはしない。
というか何故キレているのか。
「いつもあっちから来るんだ」
「ほおお⁉イケメン様は何をしなくても自然に女子から寄ってくると！そう言いたいんで⁉」
「……お前が聞いてきたんだろ」
めんどくせえ。
ふつうに質問に答えてもいちいちキレてくる。胡乱な目を向けるが只今興奮状態の上鳴には効かなかった。
「中学が同じだっただけだ」
ため息をひとつ吐いて呟けば、上鳴がさっきとは対照的に一気に静まり、ちらりと目線をこっちに寄越した。
「…紹介してくれよ」
「……ああ」
もう相手にするのも面倒になり、取り敢えず頷いたら、たちまち元気になった。一体なんなんだ。
「名前は？なんて言うんだ⁉」
「…名前…？」
名前…？全く頭に浮かばない。
そんな様子を見てか、今度は上鳴がまじかこいつ、という目を向けてくる。
それはそれでムカつく為脳をフル稼働させたものの一向に出てくる気配がしなかった。
「……今度聞いておく」
またため息を零した。
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作者名：にこらす | 作成日時：2018年4月7日 23時
