【名探偵コナン】な ぜ そ う な っ た【ゼロの執行人】

84話 ページ35

……正義と事実は違う
事実は一つだけだけど正義は人それぞれだ
それをいうなら信念だって一人一人違うはず
正義と信念はイコールじゃないかもしれないけど近しいものがある、と思う

…日下部検事は自分が今まで信じてきたものを真っ向から否定されたんだ、かなりショックなんだろう

でもそう考えるようになったのは確実に公安のせいで、その元をどうすれば良かったのか と言われたら
私にも、わからない

{公安の協力者は違法で危険な調査を余儀なくされる だからこそ、公安と協力者の関係は肉親よりも強くなる 決して金だけで繋がった関係じゃない、使命感で繋がった まさに一心同体だ}

今回みたいな…組織的な圧力が加わることで有無を言わさずに言いなりにさせられる
…私もキレるだろうな、今回みたいに

{羽場を自死に追いやったのは…いや、殺したのは公安警察だ！！}


悲痛な叫びが聞こえて、私はインカムの音量をかなり小さくした
目を閉じて深呼吸を何度か繰り返す

約20年生きてきたけど、何が正しいのか、何を信じて生きていけばいいのか
…私にはまだ良く分からないな

零や裕也、コナンくんに聞けば答えが見つかるだろうか？
いや、見つからないだろう

ヒトは、ヒトの中でしか生きられない

どこかで聞いたことがある言葉を思い出した
全くその通りだ、1人なんかじゃ生きていけない、
モノの考え方だって、偏った考え方だけ持ってちゃ人生つまんない、…んだろう、多分


{Aさんッ！！}
｢ん！？ なに？｣
{まさか、今警視庁の屋上にいるの……！？}
｢んー？ 内緒、日下部検事に聞けば？｣

大きく舌打ちが聞こえた、多分あれは零の舌打ち

{彼女を脅したのか！？}
{違う、自ら望んで屋上に行ったんだ
毛利小五郎を助けるために、私と交渉した代償に}
{早くコードを言え、日下部検事！！}
{……大切な人を失う痛みを味わうがいい}
{羽場だってあそこにいるんだぞ！！}
{……}

いないけどなぁ、羽場さん
でもコードを聞き出すにはこれしかないんだろうからしょうがないか



{日下部さん、それが私の信じた 貴方の正義なんですか？}



……そんな事言われたら、誰だって折れちゃうよ


その後小さくパスコードが聞こえた

そして駆け出す音も聞こえた


あぁ、ここに来るんだな
ぼんやりとそれが分かった



.



少し経つと走ってくる音が直に聞こえる

｢羽場！ どこだ！？｣

｢……羽場さんは、ここにはいません｣

｢どういうことだ！？｣

85話→←83話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す