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25話 ページ26

少しの間沈黙がその場を支配した


「……先生?」


「いや、おかしくないよ、君はおかしくない」


「ほんと、ですか?」


伊藤さんはいきなり立ち上がって私の両手をガシッとつかむ

「君みたいな人を探してた、僕の他人からしたら狂気じみたこの気持ちがわかる人を
確かに一連の事件の遺体は興味深いもので、検死官としてとてもやりがいがあるよ、本当に楽しい
でも普通の人は気持ち悪いとしか思えないんだ、…が、君はそこに感動を覚えてくれた」

とっても嬉しそうに意気揚々と語る彼は本当に人体が好きなんだろうなぁ、と私に感じさせた

「先生も、私と同じなんですか?」
「あぁ同じだ、僕と君は同じ」
「…早いですけど、先生にお会いできてほんとに良かったです」
「僕もだよ、まさか君のような美しい女性に僕と同じ思いを抱いてもらってるとは」

ふふ、と笑ってから真っ直ぐ伊藤さんの目を見つめる

「私、先生の見解を色々お聞きしたいのです
同じ思いがあるからこそ伝わるものがあると思います
それに、風見さんに先生の検死結果の資料を見せていただきましたがとても素晴らしいものでした」

「あぁ、Aさんは僕を喜ばせるようなことばかり言ってくれるなぁ…」

あっ、そうだ と私から急に手を離して携帯を確認し出す伊藤さん


「明日からAさんが見つけた遺体の検死をするんだが、良ければ見に来るかい?」


それは思ってもみなかった誘いだった
でもつまりは私に対しての警戒心が強い訳では無い、
……ついでにいえば彼から向けられている熱の篭った視線は所謂"好意"そのもので


「えっ、そんな貴重な体験させていただいてもいいんですか!?」
「勿論! …他の助手たちはどうやら来なさそうだし、君と一緒にいた方が仕事が捗りそうだ」

思わずとびきりの笑顔を見せてしまう
「嬉しい…!」

「あぁそうだAさん、連絡先交換しないか?
あと、僕の事は洋一さんって呼んでくれていいし堅苦しい敬語も使わなくていい」

更に予想外の事に思わず目を見開いてしまう

「あ、嫌なら全然いいんだ、ただ、なんとなく…」
「連絡先、交換しましょう!
それから、…洋一さんって呼べばいいんですよね?」

意地悪い笑みを浮かべれば目の前の男の顔がいとも簡単に赤くなる

「全く…困ったものだな」
「どうかしましたか?」
「いーや、なんにも」

時計を見れば意外と時間は過ぎていて

「洋一さん、とりあえず今日の所は…」
「そうだね、…入口まで送るよ」

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レモン(プロフ) - はじめまして、最初から一気に途中まで読ませていただきました!!面白かったです!零君が超カッコいいのでキュンキュンしてます! (2018年10月19日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
あちぇるんるん(プロフ) - kamiさん» 関西の方の方便で そうですか の意味ですね! 北海道には何も関係ありません…笑 (2018年6月17日 13時) (レス) id: d385e648a6 (このIDを非表示/違反報告)
kami(プロフ) - さいでっかって、方言ですか? (2018年6月17日 12時) (レス) id: ee89c5b5ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あちぇるんるん | 作成日時:2018年6月4日 23時

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