妖、準備す ページ39
祝言当日
烏天狗がせわしなく飛び回るのを見ながら、Aは半ば無理やりとも言える着替えをさせられていた。
普段と同じ格好でいいか・・・そんなことを思っていたら、食事の準備を始めようとしたところで捕獲されたのだった。
「華やかなの着てどうするってんだ・・・」
いつもは自分が着ないような、大きな花が散る赤を基調とした振袖だった。
「正装って言ってもここまでしなくてはだめかい?雪麗」
若干顔の赤い雪麗はこちらを見ながらため息をついた。
「ばかね」
「え」
「ばーか」
「・・・主役は珱姫なのだから、私が化粧などする意味はないだろう?」
「馬鹿ね、あんた。こんな日しか着ないんだから、だまってればいいの」
もう、なにもいうまい。
化粧をされ、いつもよりも派手めな(いつもより華やかなだけであり、そこまで派手でないと明記しておく)格好で廊下にほっぽり出されたA。
「刀をどうするかだな・・・」
祝いの席で帯刀していても良いのだろうか・・・しかし自分は護衛であって・・・
自室で武器の保管してある棚を開き、くないなどを発見したAは暗器と呼ばれるそれらを持って再び廊下へ出たのであった。(暗器ならいいだろうという考えな時点で、間違っていることには気がつかないAであった)
廊下を歩いていると、酒の匂いが鼻をついた。ちらり、と覗き込めばそこには先ほどよりも赤い顔をした雪麗の姿。
「まだ、はやくはないか?」
「そう?」
肯定したとき、近づいてくるダミ声に気がついた。内容からして、口上を任された烏天狗であろう。
「なにその、ダミ声」
「渋くでもしたいのか?逆効果だな」
突然練習を邪魔された挙句、気の強い女二人に取っ捕まった烏天狗は驚いた様子で振り返った。
「お、おお、雪麗にAか。いやその、ちと口上の練習をな」
役目があるだけいいのかもしれないな、などと手持ち無沙汰なAは考える。
「さすが、本家の烏天狗の世話よ、と皆に言わしめたいからのう」
「あっそ。けど、そんなに頑張らなくてもいいんじゃない?」
「粗相の一つや二つ、あっても、奴良組らしさ、だな」
「これこれ、そう滅多なことをいうもんじゃない」
烏天狗はそう返しながらも、奴良組らしさ、というところには心の中で同意していた。
「ん、雪麗、お前飲んでおるのか?」
「悪いの?めでたい日なんでしょ?」
「雪麗。そうゆうわけじゃないんだがな」
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朔桜(プロフ) - トンぬらさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いします!! (2015年8月20日 1時) (レス) id: 2cea28e74f (このIDを非表示/違反報告)
トンぬら(プロフ) - 夢主カッコカワイイイイイイ(( めっちゃ面白いですね!もっと前にコメしたと思い込んでて遅れました泣こんなにいい作品なのに!更新頑張って下さい応援してます! (2015年8月19日 15時) (レス) id: 33eb7c7682 (このIDを非表示/違反報告)
朔桜(プロフ) - 夢花火さん» コメ返し遅くなってごめんなさい!(T ^ T)コメントありがとうございます!設定はそろそろでます!一段落ついたら設定作る予定です!もちょっと待っててくださいー (2014年11月19日 16時) (レス) id: 2cea28e74f (このIDを非表示/違反報告)
夢花火 - 面白いです!面白いんですが、設定はないのですか?これからも楽しみに待ってます!更新頑張って下さい(^^) (2014年11月6日 19時) (レス) id: 2a437cc357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔桜 | 作成日時:2014年10月29日 0時