彼岸花の咲いた夜に【ぬら孫】

妖、失う ページ23

「「母上！？」」

現れたのは血塗れの母と・・・男たちだった。

「これは中々の上玉・・・」

舐められるような視線。

「母上！！！」

母の体にしがみつく六花を引き離し、離れの隅へ逃げる。

「姫は殺すなよ・・・高く売れる」

じりじりと外へ追い詰められ、転がり出た時だった。

「！？離しなさい・・！！」

襟をつかまれ、拘束される。

あたりには血臭が漂い、むさ苦しい賊どもの荒い息が聞こえる。

「姉様！！」

六花が必死に手を伸ばすが、華姫を中心に円状に集まる男たちの外側にいた。

「へぇ・・・いい女じゃねぇか」

頭だろうか。偉そうだ。

その男が華姫の顎を持ち上げる。

「・・・！？」

目にかかっていた髪が動き、瞳があらわになった。

「ちっ・・・化け物か・・・」

華姫はその赤い瞳で男を睨みつけた。

足元には誰ともわからない赤い液体が流れていて。

少し離れたところにこちらを見つめる六花が見えていて。

「殺せ。売り物にならん」

ああ、死ぬんだな。

他人事のように思った。




瞳のせいで父に嫌われた。

私を守るために母は死んだ。

私を思って妹が泣いた。

大上段に構えられた刀。

鈍い光を発するそれが、振り下ろされた。






「え・・・？」






頰についたそれはなんだ。

胸に飛び込んできたそれはなんだ。



ねえ。



なんで。




「生きて・・・ねぇさま・・・」

妖、覚醒す→←妖、逃げゆ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す