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妖、過去は ページ20

京の都が世の中心として、力を持っていた頃のこと。

ある名のある貴族の邸に、赤子が生まれた。

母となった若い女は取り上げた女を呼ばわった。

「子を・・・子の顔を・・・」

弱々しい声を聞きながら慌てて近寄れば女は涙を流しながら我が子を抱いた。

「北!」

「なんですか・・そんな大声を出されて・・」

北の方。奥方を呼ぶ時に使われる名前である。

荒々しく開かれた戸の先には父となった男の姿。

「生まれたのだな!男の子か!?姫か!?」

「姫にございますよ・・・顔を見てあげてくださいな」

その瞬間であった。

姫が瞼を持ち上げたのは。

次の瞬間、邸の主人の叫びが響く。伝染するように叫ばれる。

「なんじゃこれは!」

「おそろしい」

「妖か!?」

何事かと覗いた女の視線の先にあったのは









赤い瞳だった。









化け物と言われるのも仕方がない。そんな瞳だった。


「もしや、姫に妖が取り付いたのではないか!?陰陽師どもは何をしておる!」

「いいえ、妖の気を感じませぬ」

「では、これはなんだ!」

「・・・姫君の生まれ持ったものにございましょう・・・」

その言葉を聞いて一変した男の気配。

「北!それは我らの子ではない!妖だ!」

「いいえ!これは我らの子にございます!私が産んだ子にございます!!」

女はその細腕で子を抱きしめた。

「こちらへよこせ!その子を滅してもらう」

「おやめください・・・!」

母となった女、大変聡明で学のある人であった。我が子を助けようと弾き出した答えを述べる。

「しかし、この子が生まれたことはすぐに都に広まりましょう。その子が居らぬとあれば、いらぬ疑いや災厄があったとおもわれ、貴方様の評判は悪くなるかと思われます。それでもよろしいのならば・・・」

落ち着いた口調で言い切った女に男は慌てた。

「や、やはり、我が子だったようだな」

こうして姫の命が繋がれたのである。

妖、家族と→←妖、語る



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朔桜(プロフ) - トンぬらさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いします!! (2015年8月20日 1時) (レス) id: 2cea28e74f (このIDを非表示/違反報告)
トンぬら(プロフ) - 夢主カッコカワイイイイイイ(( めっちゃ面白いですね!もっと前にコメしたと思い込んでて遅れました泣こんなにいい作品なのに!更新頑張って下さい応援してます! (2015年8月19日 15時) (レス) id: 33eb7c7682 (このIDを非表示/違反報告)
朔桜(プロフ) - 夢花火さん» コメ返し遅くなってごめんなさい!(T ^ T)コメントありがとうございます!設定はそろそろでます!一段落ついたら設定作る予定です!もちょっと待っててくださいー (2014年11月19日 16時) (レス) id: 2cea28e74f (このIDを非表示/違反報告)
夢花火 - 面白いです!面白いんですが、設定はないのですか?これからも楽しみに待ってます!更新頑張って下さい(^^) (2014年11月6日 19時) (レス) id: 2a437cc357 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朔桜 | 作成日時:2014年10月29日 0時

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