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妖、語る ページ19

「ふふふ・・・癒しの姫君は大変な御仁に好かれたようだ」

妖が去って、振り返ると当然のように座す女人の姿。それは、つい、何刻か前に別れた《妖》で。

「Aさん・・・?」

そのひとは、おや、と驚いたように肩を揺らした。赤く、結われてない髪がさらさらと流れる。

「ああ、これか?」

凝視していたらしい。慌てて視線を戻す。

「気持ち悪いだろう?」

「いえ・・・とても綺麗な御髪です・・」

ポロリ、と口にすれば不思議そうにこちらの瞳を覗き込んできた。

「あの・・・私、変なこと言いましたか?」

恐る恐る口にすると面白そうに笑いだした。

「あなた、面白いね」

女の優しい口調だった。纏う空気も暖かくなった様に思う。

もし、この《妖》が《人間》だったら。

京一、否、この国で一番の美姫であったことだろう。

「綺麗な声・・・」

思わず呟くと、バツの悪そうな顔をして頭を振った。

「なにか聞きたいことはあるかい?なんでも答えてあげるさ」

「なぜ、《人間》である私にそこまで・・・」

すると、突然。楽しそうに笑いだしたのだ。


「そんなの簡単さ。




私が・・・珱姫。あなたを気に入ったからさ」




・・・じゃあ

「あなたのことを教えてください。地獄花は、どんな《妖》ですか」

「私か?とてもつまらなくて、長い話になるぞ?」

「構いません・・・今宵は眠れそうにもありませんから」



紅の姫より紡がれるは悲しき人の性。




「昔々・・・この京に都が置かれし時より、しばらく経った頃のお話です」




それは・・・遠い過去の過ち。人間と人の間で生きられなかった少女の・・・罪の物語。

妖、過去は→←妖、向う



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朔桜(プロフ) - トンぬらさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いします!! (2015年8月20日 1時) (レス) id: 2cea28e74f (このIDを非表示/違反報告)
トンぬら(プロフ) - 夢主カッコカワイイイイイイ(( めっちゃ面白いですね!もっと前にコメしたと思い込んでて遅れました泣こんなにいい作品なのに!更新頑張って下さい応援してます! (2015年8月19日 15時) (レス) id: 33eb7c7682 (このIDを非表示/違反報告)
朔桜(プロフ) - 夢花火さん» コメ返し遅くなってごめんなさい!(T ^ T)コメントありがとうございます!設定はそろそろでます!一段落ついたら設定作る予定です!もちょっと待っててくださいー (2014年11月19日 16時) (レス) id: 2cea28e74f (このIDを非表示/違反報告)
夢花火 - 面白いです!面白いんですが、設定はないのですか?これからも楽しみに待ってます!更新頑張って下さい(^^) (2014年11月6日 19時) (レス) id: 2a437cc357 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朔桜 | 作成日時:2014年10月29日 0時

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