彼岸花の咲いた夜に【ぬら孫】

妖、向う ページ18

「この女は人間ですぞ！人と交わる気かあんたー！！」

カラスの叫び声に続く大騒ぎ。・・・・主に雪麗ぼ叫び混じりの声だが。

Aは隣の表情を変えない男に話しかけた。

「牛鬼。あんたは反対しないのか？」

なぜだ、とでも言うようにこちらを見下ろしてくるので重ねて問いかけた。

「常識はずれだろう？人間と交わるのは」

「まあな・・・。それでこそ皆がついてゆくのだがな」

何かを達観したような答えにやれやれと頭を降り、窓から月を見上げた。

「常識にとらわれぬ・・・それこそ魑魅魍魎の主となりし器・・・か」

ぽつり、と零せば牛鬼が可笑しそうに応えた。

「お前らしくない・・・何かあったのか」

「いや・・・」

そういえば、と牛鬼が続けた。

「お前の生まれを聞いたことなかったな」

「そうだったか？」

騒ぎが収まったのを見てAは静かに立ち上がった。

「出かけるのか」

「ああ。遅くなる。


・・・私の生まれだったな、梅若丸」

びくり、と昔の名を呼ばれ固まるとAは静かに答えた。

「お前と同じだよ。奴良組幹部、大妖怪牛鬼」

そう言うと闇にまぎれて消えた。








「ここだったか・・・」

目的の場所についたAはそっと中を覗き込む。

「こ、困ります！」

ちょうど我が大将の去り際のようだ。

そう。

ここは奴良組総大将、ぬらりひょん。

その人が通う姫君の屋敷。

珱姫の屋敷だ。









更新遅くなってごめんなさい。入試が終わったらまた更新していきます！

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