輝く月のように 3 (ページ49)

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A「Snow Manから脱退させられるの。私が韓国とのハーフだから」

俺と照の口から息を呑んだ音が漏れる。あぁ、彼女は昔の事務所に付けられた傷に今もまだ苦しめられているのだ。

Aがグループに加入してお互いに心を許したころに前の事務所でデビュー出来なかった理由を教えてくれた。芸名も与えられ、デビュー曲の収録まで済んでいたのに、デビューが消えた理由は自分ではどうしようも出来ない事柄だった。

日本とのハーフだから、だからデビューは出来なかったの。韓国の人は日本に対して反感を持ってる人が多いから、だから、ハーフとはいえデビューが失敗する可能性を否定出来なくて、それで…。

言葉を選びながら表面上は明るく話すAに6人全員が絶句した。ジャニーズでもハーフやクォーターの人は居るし、それでデビューが中止になることは無い。だって、それは人種差別だ。

A「でも、デビュー出来なかったからみんなとSnow Manを組めてるんだもの。感謝しなきゃ」
渡辺「感謝すんな！！そりゃ俺だってお前とグループ組めて良かったとは思うけど、だからってそんな理由でデビュー消されて感謝すんのは違うだろ！」

翔太の言葉は6人の総意だった。差別をされたことを受け入れるのは違う。許す選択肢も与えてはいけない。けど個人が１企業に出来ることは意外と少ない。

阿部「俺たちが出来るのはデビューしてCDも1位取って国民的アイドルになることだね」
宮舘「Aをデビューさせなかったことを後悔させよう」

Aの華奢な両肩を掴んで顔を覗き込む。涙を浮かべたまま不安に推し潰れそうな瞳に自分を映す。

深澤「Aいい？絶対にそんなこと俺たちが許さない、ファンの子たちだって、世間だって許さない。AはSnow Manだ、お前の意思以外でグループを抜けることはありえない」
岩本「ふっかの言う通り。Aがもうこんなグループ嫌だって言わない限りずっとSnow Manだよ」
A「っ……、ぃ、ひぅ……いわな……、ずっとっ……すので、いたいっ……」

大粒の涙を零すAを抱き寄せると、肩に顔を埋めて今まで推し殺していた声を上げて泣き出した。胸が痛むほどの慟哭に俺も照もその背を撫でて傍に居ることしか出来なかった。