輝く月のように 2 (ページ3)

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ピコンと軽快な音を立ててメッセージの到着を知らせる携帯を手に取る。送り主は最近知り合ったテンくん。本名はチッタポン・リチャイヤポンクルくんだけど、タイの人は名前が長いから主にあだ名で呼び合うらしい。連絡先を交換してから毎日のようにメッセージのやり取りは続いている。人懐こい子だけど韓国語がまだ十分に使えないから寂しいのかな、と日本に来たばかりの自分を重ねている。彼に励ましの言葉を掛けるたびに当時の自分も一緒に救われている気がする。

Aちゃんからのメッセージは上辺だけの言葉じゃない。真に迫ったもので同じような経験をしたんだろうなぁって感じ取れる。自分で決めた道、それでもこの道は、この決断は、正しかったのだろうか。答えの出ない問いをずっと己に問いかけ続ける。それを「魔物」と称したAちゃんはやっぱり女神なんじゃないかと思う。

一目惚れ、なんだと思う。可愛い人、綺麗な人、タイでも韓国でもたくさん見てきた。その中でもAちゃんは比較にならない程に美しい人。目を奪われる美しさを初めて知った。ただ容姿が整っているだけじゃなく雰囲気すらこの人を形容している。明るさの中にどこか陰を感じさせるAちゃんをデビューから外した理由が見つからない。Aちゃんは韓国アイドルの人気を塗り替える器を持っているのに。

メッセージのやり取りを続けてたら声が聞きたくなる。だから、電話した。ちょっとだけ。明日週末テストがあるから練習するんだ、と伝えたらAちゃんは「良い評価を得られるようにね」と応援してくれるはず。その一言だけでもっともっと頑張れる。1コール、2コール、3コール……長く鳴らしてもAちゃんの声は聞こえない。諦めてメッセージだけ送った。Aちゃんの声が聞きたいよ、って。

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