カスミソウの君へ＿skab

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三着目。


「うーん…。」


なんか悩みながら出てきた。


「え、だめ？
可愛いけど。」


くすんだ緑の半袖ニットワンピ。
体のラインにぴったりフィットしてるから阿部ちゃんの魅力が存分に発揮されてる。
前が全部ボタンなのもポイント高い。
ほら、ワ ンピースってお出かけに可愛いと思うけどちょっと脱がしにくいじゃん。


とか言えないことも色々考えながら更に二着分のトータルコーディネートの試着を見た。


「どれお気に入り？」
「さ…、大介はどれが良いと思った？」


今佐久間って呼ぼうとしたな。


「えー、全部可愛い。」
「それ本気で選んでないから言ってるんじゃなくて？」
「違うって。
まじで亮は全部可愛い。」


ああ、照れて下向いちゃった。
良いとこのお嬢さんみたいな黒いリボンが結んである白色ワ ンピース着て恥じらうの、まじで罪深い可愛さすぎてどうしたら良いんだろ。


「俺はさ、亮が好きなのを今日のデートに着てほしいから。
好きなの言って？」
「じゃあ…、二つ目の、ベージュので。」
「ん、分かった。
じゃあそれ着て帰ります。
あとのも靴とかまとめて全部買うんで包んでください。」
「畏まりました。」
「は？
さ、だ、大介、何言ってんの。」


また佐久間って言おうとしてるし。


「だから言ったじゃん、全部可愛いよって。
他のは別のデートの日に着て。」
「そんな…、こんな沢山もらえない。」
「良いの、俺がしたいだけだから。
それにありがとうって笑ってくれた方が嬉しい。」
「う…、」
「ね？」
「ぁ…、ありがとう。」


戸惑いが大きすぎて笑顔ってよりはもじもじって感じだったけど。
ま、受け取ってくれるみたいだし俺としてはオッケー。

阿部ちゃんが試着室に消えたのを確認して支払いを済ませた。

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