夢 ページ39
真っ白な空間の中、目の前で小さな女の子が泣いていた。
『どうしたの?』
女の子の側に寄り、同じ目線になるようにしゃがみ込む。
少女「あの、ね、みんながね、おまえなんかだめにんげんだっていってきたの」
真っ赤に泣き腫らした目の女の子をどこかで見たことがあるような気がするのだが、さっぱり思い出せない。
『ダメ人間じゃないって、言ってみたら?』
頭を撫でようと手を伸ばす。
少女「どうしてそんなことがいいきれるの?」
『……え?』
伸ばしていた手がピタリと止まる。
先程まで泣きじゃくっていたのかと疑う程、女の子の眼は絶対零度のような酷く冷めきった眼をしていた。
少女「なにをいってもかわらなかった。いくらがんばったってむだだよ」
今度は冷めきった眼ではなく、異常な程の圧が掛けられている怒りの眼をしていた。
『い、いや、ちゃんと言えば解ってくれるよ』
少女「ちゃんといったってわかってくれなかった! おねえちゃんだってだめにんげんなのに、わかったようなくちでいわないで!」
過去を覗かれた様で、返す言葉が無くなった。
少女「おねえちゃんはさ、どうしていきてるの?」
『どうして、って……』
少女「みんなみんな、だいきらいなんでしょ? いきててもいみないじゃん」
私が生きている理由は……
『私を一人の人間として視てくれる人たちがいるからだよ。その人たちのおかげで、私は人を信じられて、素の自分でいられるの』
日吉さん、舞織さん、こんのすけ、私に付いて来てくれた三日月、鶴丸、薬研、今の本丸のみんな。
みんなが私を視てくれているから、私はみんなを信じていられる。
少女「このさき、どんなにつらいことがあってもそのひとたちをしんじるの?」
『そうだよ。私はみんなを信じてるから』
女の子の目を見て言うと、女の子はニパッと笑った。
少女「おおきくなったね! わたし、あんしんした!」
そう言うと、私の頭を撫でた。
突然睡魔に襲われ、瞼が落ち始めていく。
『ねぇ、名前を教えて』
そういえば、この子の名前聞いて無かったな。
少女「わたしのなまえはA! これからぜつぼうすることもあるけど、おねえちゃんならのりこえられるよ! がんばってね!」
あぁ、思い出した。この子は人が信じられなかった幼少期の私だ。
成長したな、私。と自画自賛しながら、目を閉じた。
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まじゅっちゃん(プロフ) - ふじもんさん» ギャーギャーピーピーうるせぇなってことですよ!面白いなって思って使ってみました!(笑) (2018年11月18日 17時) (レス) id: c4baafbcb4 (このIDを非表示/違反報告)
ふじもん(プロフ) - 待ってギャーピーって何笑ギャーギャーは分かるけどギャーピーって笑 (2018年11月17日 21時) (レス) id: 72a2d2ef64 (このIDを非表示/違反報告)
まじゅっちゃん - 豆王さん» 続編作りましたよ!是非ご覧ください! (2018年8月11日 22時) (レス) id: c4baafbcb4 (このIDを非表示/違反報告)
豆王 - うおっ!続編ですな!お待ちしておりますぞ! (2018年8月11日 17時) (レス) id: 2f9ad457d5 (このIDを非表示/違反報告)
まじゅっちゃん - 薄桜鬼☆ハルハルさん» コメントありがとうございます!良い作品と褒めていただき光栄です!今後も心に響く作品になるようにより一層頑張ります! (2018年8月7日 17時) (レス) id: c4baafbcb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まじゅっちゃん x他1人 | 作成日時:2018年4月21日 0時