悪の華【THE RAMPAGE】

＊癒やしと愛し ページ27

樹side


朝起きると気持ちよさそうに眠るAの寝顔

やっぱり辛かったのかな
目には薄っすらと涙が残っていた


『.....ん、樹.....、?』

樹『おはよA

ごめん 昨日辛かったよね』


すると昨日のことを思い出したのか
顔を真っ赤にしてシーツで隠そうとする

Aを抱きしめて阻止すると


『意地悪.....』


って言われてしまった


樹『そんな俺が好きなくせに』

『....樹は好きな人には意地悪だもんね』


そう言って笑うAは卑怯なくらい愛しかった


樹『集合まで時間あるけど...どうする?』

『海 行きたいな』

樹『いいよ 俺シャワー浴びてくるかその間に
着替えなよ』

『うん』


シャワーを浴びていると少しずつ冷静に戻って
いくのを感じた

Aと話している時、Aに触れている時、
何もかもが愛しくて


だからこそ壊してしまいそうで怖い

こんなにも誰かのこと愛しく感じたことないから


『樹 着替え、終わったよ』

樹『海 行こっか』

『待って』


俺の服の袖を掴んで引き寄せるA
振り返ると視界が真っ白なもので埋まった


『髪、乾かさないと』

樹『......笑


お願いします』



.




.




Aside


『冷た.....』

樹『もう、夏は終わったからね』

『でも冬が近い海は、奇麗だよね

誰にも汚されない 綺麗な色をしてる』

樹『A....』


樹と過ごす時間は何よりも私らしくいられる
癒やしの時間だった

樹と話している時、樹に触れられている時、
何もかもが私の心を安らぎに変えてくれた


だからこそ、樹がいつか私を負担に感じて
離れてしまうんじゃないかって


こんなにも...誰かのことを愛したことがないから


樹『また、来年来よう

来年見る海はもっと綺麗だよ


来年だけじゃない....その次もまたその次も

きっと綺麗だよ』

『......！


.....っ、樹は、ロマンチスト似合わないね.....笑』

樹『え?』

『樹は、十分かっこいいよ』



来年も、その次も....そう言った樹は優しく
私の手を握った


"来年も、その次も2人で海を見に行こう"



そう誓ってくれているかのように

樹は小さく微笑むと、少しかじかんだ私の指に
そっと自分の指を絡めていた





.

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