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「涼介…!」
涼介「A…大丈夫か…?」
「何言ってるの。私は大丈夫だよ!
でも、涼介がっ…涼介が…!」
私の声が涙に濡れていくのが分かる。
涼介の白くて柔らかな頬に落ちていく涙。
涼介「よかった…」
そう言って、力なく笑う。
いいよ。笑わないでいいよ。
こんな時にまで無理して笑わないで。
「いやだ…いやだよ…死なないで…!
もう…ひとりにしないでっ…!!」
とめどなく溢れ出す血を、必死に服で押さえる。
お願い。止まって!止まって…!
涼介「俺…お前の笑顔が大好きだった。
あいつのせいで…奪われた…っ…
お前の笑顔を取り戻したかっただけなんだ……」
「りょうすけ…っ…!」
涼介「だから…さ…ごほっ……最期くらいは笑ってくれよ…な…?」
「やだ…やだよ…おいていかないでよ…!!」
いうことを聞かない子どものように
泣きじゃくる私の頬に
涼介の手が伸びてきて、優しく撫でる。
こんな風に優しく触れられたのなんて久しぶりだ。
第一、涼介に触れられたことなんてあの夜、
涼介に手を引かれた時以来だ。
涼介「ごめんな…A…ごめん。」
「やだ…やだ…涼介!涼介!」
笑え、なんて無茶なこと言わないでよ。
涼介が生きて私の隣にいてくれるなら、
いくらでも笑うから。ずっと笑ってるから。
だから、死なないでよ!
「りょうすけ…!」
そんな言葉が口をついて出てくる余裕はなく、
ただひたすらに兄の名前を呼ぶ。
そして次第に目が閉じていく涼介。
抱きしめている涼介の体温が次第に下がっていくのを、
手で感じとることができてしまう。
もう、これが最後なのだと言わんばかりに。
パタン、と涼介の手が私の頬から滑り落ちる。
その手をギュッと握りしめた。その手も冷たい。
そして
涼介「A……俺も好きだよ。
頼りない兄でごめんな。
俺の…妹になってくれて……ありがと…」
その言葉を最後に涼介は目を閉じた。
「りょうすけ……!!」
誰にも届くことのない私の叫び声が、
また月が浮かぶ夜空にこだました。
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かおん(プロフ) - 完結おめでとうございます!大号泣しながら読んでました!これからも、みほさんの、作品愛読者でい続けます!なのでよろしくお願いします! (2017年6月27日 1時) (レス) id: 501f0eebb0 (このIDを非表示/違反報告)
涼介くん 愛ing(プロフ) - 完結おめでとうございます!ほんとにいい話で、号泣しながら読んでました!!!本当にお疲れ様でした(*⌒▽⌒*) (2017年6月24日 8時) (レス) id: 79f8666bcb (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 完結おめでとうございます!涼介くんと仲が悪くてそれがどのように進んでいくのか予想しながら読んでいて、とても面白かったです!最後は感動して泣いてしまいました。お疲れ様でした! (2017年4月28日 20時) (レス) id: a178829efa (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 完結おめでとうございます(#^.^#)最初から読んでました。最初は仲が悪いのかと思いました。でも読んでるうちに違うんだって気づきました。それからこの次はどうなるのかなって思いました。凄く面白かったです。お疲れ様でした。JUMPのかぐや姫もずっとよんでいきます。 (2017年4月28日 20時) (レス) id: 01dd25a0f2 (このIDを非表示/違反報告)
うえまー(プロフ) - 完結おめでとうございます(*^_^*)
毎回ハラハラして読んでいました!!
伊野ちゃん大好きなので結婚してくれて良かったです笑
本当に最高の作品でした。
お疲れ様でした(^o^)/ (2017年4月28日 19時) (携帯から) (レス) id: 63bba7a27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みほ.。 | 作成日時:2017年4月9日 20時