君を守ると決めた日。

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ーAsideー







「ん……」








ぼやける視界を必死にクリアにして




今の状況を確認する。









暗い部屋。どこだ？ここ。








体を起こそうと、手を動かしたが動かない。





まさか、縛られてる？









「……っ！」









最悪だ…






目の前にいる男を睨みあげる。









男「よ〜A。久しぶりだなあ」









ねっとりとした声を出す男。









男「俺が誰かわかるか？」








忘れるわけがない。








4年前、いやそれよりずっと前から




私と涼介を痛めつけた父親、だ。









こいつのせいで。



こいつのせいで、私たちは変わったと思ってる。









こいつさえいなければ。




こいつさえ私たちの前に現れなければ。









逮捕されていたはずなのに。もう釈放されたの？









なんとか起き上がって、座っている体勢にする。







だけどこれじゃ逃げられない。




逃げたとしてもすぐに捕まるだろう。









4年前の恐怖が体の奥底から這い上がってくる。









男「あいつは元気にしてるか？」









言葉だけ見たら子の様子を気にする親のようだが、




こいつはニヤニヤとした笑みを浮かべたまま聞いてくる。









「知らないよ。あたしあいつに嫌われてるから。」








男「がははは！なんだそれ！ダメだろ〜



兄妹仲良くしなきゃ〜お父さん悲しいよ〜」









そう言いながら、肩を組んでくる。





ぎりぎりと締め上げられる肩。









“怒り”が現れていた。





ふと、やつの足に目を向ける。









4年前、私は確かにこいつの足に



ナイフを刺して傷を残した。








だけどもうそんな面影はない。









今は服で隠れて見えないけど、



傷跡すら残っていないのだろう。









なぜ。なぜ。







私たちの心にはためらいもなく、




傷跡を残していったくせに。









なんで。









「なんで私たちがこんな目に遭わなきゃいけないのよ。」









男「なんでって邪魔だからだろ。ほらあいつ呼べよ。」









男はそう言うと私のカバンから携帯を取り出して、





すぐに「涼介」を見つけ出し電話を掛ける。









お願い。出ないで。








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