JUMPのかぐや姫.｡*-11-

◇547 ｰ思い出して。ｰ ページ47

＋







−Aside−








あたしが唯一忘れたこと。









それは山田涼介というひとのこと。









他のみんなのことや自分のこと、




自分がジャニーズのアイドルだということも







しっかり分かってるのに



彼のことだけは分からなかったんだ。









あたしの彼氏というその人。









あんなに綺麗な人が




あたしの彼氏だなんてあり得るのだろうか。









そんなことを考えながら、




ダンス室でメンバーが来るのを待っていた。









いつも日替わりで、動けないあたしのために



目の前で踊って教えてくれる。








それをあたしは目で記憶する。









そのとき、ダンス室のドアが開いて



入ってきたのは









涼介「A」









山田さんだった。









あたしは一瞬体を強ばらせる。









山田さんが教えてくれるのは




初めてだった。









あたしの隣に来た彼。









涼介「今日は俺が教えるから」






「お願いします…」









そう言うと、彼は少し寂しそうな顔をした。









それから数曲を、あたしの前で踊ってくれ





メモを取りながら必死に覚える。









「ここの部分もう１回いいですか」









そんなあたしの頼みも、快く聞いてくれ




何度でも踊って見せてくれる。









JUMPのメンバーは、みんなダンスが上手だけど




彼は群を抜いてうまかった。









ずっと見ていたい、そう思った。









涼介「ちょっと休憩にするか」






「はい」









あたしは一回、レッスン室を出て




キッチンに行き、飲み物を持ってまた戻った。









「どうぞ」







涼介「ありがと」









渇いた喉を潤し、互いに何も話さない。







山田さんはずっと下を向いていた。









＋

◇548→←◇546

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す