Step 102 ページ26
起きて・・・
起きて・・・
Aちゃん！
誰かが、私を呼ぶ。
私を呼ぶのは誰？
「ぅん・・・。」
ピッ
ピッ
ピッ
無機質な、機械の動く音がする。
薬品の匂い。
ズキンッ
・・・痛い。
当然か。飛び降りたんだもの。
むしろ、生きてる方が可笑しい。
「Aちゃん・・・？」
聞きなれた、心地よいテノールの声がする。
「カ、ルマ君・・・？」
ピッ
ピッ
ピッ
機械の動く音が、ここが本当の現実であることを教えてくれる。
ぎゅ
「無事で良かった・・・。」
手のひらを握られている感覚がする。
「本当に良かった・・・。」
「カルマ、君・・・。私・・・。」
動きたいのに。
動かない。
「動いちゃダメだよ。全身複雑骨折だから。」
道理で身体中痛いわけだ。
「今は・・・。」
「冬休み。１２月２４日だよ。」
「あ・・・明日。カルマ君の誕生日・・・。」
「あはは。起きて早々彼氏のことですか？嬉しいことだねぇ。」
「む・・・。彼氏のことを想って何が悪いの？」
「ごめんごめん。でも、覚えててくれて嬉しいよ。」
そっと、私の額にキスを落とした。
「俺が欲しいのは、Aちゃんだよ。」
トロリとした蜂蜜色の瞳が私だけを見てくれる。
「月が綺麗ですね。」
優しく私を見て、笑ってくれる貴方は。
「夕日が綺麗ですね。」
「近くで見れば、汚いですよ？」
「それでも、綺麗です。」
私のことを、愛してくれますか？
「好きです。あなたを俺にください。」
「・・・こんな私でもいいのなら、喜んで。」
愛してくれる貴方に、私の、精一杯の愛を。
綺麗な宝石が嵌まる指輪を嵌めてくれた、貴方に。
「一生、大切にしてください。」
そう言って、私は大好きな貴方に笑いかけます。
「もちろん。いつまでも大切にするよ。俺の未来のお嫁さん♪」
イタズラに笑う貴方は、本当に自慢の旦那様。
「わ、ちょっと押すなって。」
「しっ！声がデカイよ。」
「「・・・。」」
二人で顔を見合わせて、静かに微笑む。
「開けてあげて。」
「はーい。」
がらがら。
「「「わっ！」」」
出てきたのは、E組メンバー。
・・・プラス殺せんせー。
「見てたの？」
「ヌルフフフ。なにはともあれ、婚約おめでとうございます。」
「「「おめでとう！！」」」
祝福してくれる、E組の皆。
私達は、二人で顔を見合わせて笑う。
「「ありがとう！」」
神様・・・。
私は、とても幸せです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおいちご | 作成日時：2016年11月6日 15時
