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臣side
何を言い出すのかな…。
今度は、月を眺めながら話す仙崎さんを俺が見つめた。
A「…今見えている満月は…大きくて、自信に満ち溢れているように見えて…その大きな自信で包み込んでくれるようで安心します。
……細い、細ーい三ケ月は…一見尖って冷たそうに見えるけど…ハッとするほど美しくて見惚れます…。」
仙崎さんが何を伝えようとしてくれているのか…俺は彼女の美しい横顔を見ながら、一言も聴き落とさないように集中していた。
「……そして…今、そこの噴水の水に映っているお月様は…水が揺れるたびに形を変えますけど……水紋と一緒に変わる光の形は…今一瞬だけのもので…目を離すのが勿体無い位です。」
「…………………………。」
「同じ夜道を歩いていても……月明かりがある日とない日では、心強さが全く違います。」
「…月は……色々な形に変化しますが…どの月も本物で……形にとらわれずに、その本質だけに目を向ければ……優しさが溢れる……癒しの存在、と言うところでしょうか。」
そこまで言うと、仙崎さんは俺に視線を合わせて…言った。
・
・
・
「…月は…あなたのシンボルですよね、登坂さん。
…あなたにぴったりです。」
そう微笑んだ彼女を見て…
ドクンっ
大きく俺の心臓が音を立てた。
それが合図のように上がる心拍数と、胸のあたりに広がる暖かい気持ち。
「……俺のシンボルマーク知ってたんですか…?」
「はい。仕事熱心でしょう?」
「……でも、俺の歌は聞かないんでしたっけ?」
岩ちゃんが言ってた。
『仙崎さんってー、EXILEの曲一切聞かないんだって。ATSUSHIさんの曲ですら聞いたことないらしいよ。』
A「あれ?バレてます?それについてはごめんなさーい。」
そう言って、仙崎さんはケタケタと例の面白い笑い方をした。
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作者名:まる | 作成日時:2018年5月13日 0時