Sweet four seasons〜9 完結

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臣side




スマホの画面には、心配そうな由紀子さんの顔が映し出されてる。





『…３人とも…ごめんなさい。…これはAの意思なの。誰かに強要されているわけでもなんでもないの。あの子が決めたこと。』





「事情があるんですよね？だって、こんな急な話、有り得ない。」

岩ちゃんが懇願するように由紀子さんに訴えかけたけど…





『…ごめんね…。どんな事情があるにせよ、これはAの意思だから覆すことはできないの。』



一縷の光だった由紀子さんからも何も教えてもらえないことが分かって言葉を失うと…







電話の向こうでとても悲しそうな顔をした由紀子さんは…








『…この状況で…こんなこと言っても…全然説得力がないのは分かってるんだけど……あの子は、あなた方の幸せを第一に考えてる。…それだけは覚えておいて欲しい…。』






…俺たちの幸せを考えてる？





隠し事はもうしないと言ったのに…





ある日突然姿を消して…





俺たちと向き合おうともせず…





俺たちの気持ちを知っているのに、何の話もないまま結婚を決めて…





自分やりたいことをやると決めた彼女の…






…どこが俺たちを思ってくれているのか…







俺には1ミリも理解出来なかった。







こんなのは…絶対に彼女の本意じゃない。






彼女はこんな風に俺たちを裏切るはずがない。







…なのに、どうして俺は、あの時、新庄の腕の中から彼女を奪い取らなかったんだろう？




…どうしてエレベーターまで追いかけてきた彼女の手を取らなかったんだろう？




2人のキスを見て…ただ嫉妬に我を忘れて…




…裏切られた、そう思って…




…彼女に向き合うことから逃げてしまった。






…やっと会えて…






…やっと話せるチャンスだったのに。








「…その事情が知りたいんです。本当は、彼女の意思なんかじゃないんですよね？弱み握られてるなら言ってくださいよ、俺ら、全力で何とかするから…。由紀子さん…お願いだから…。」





カメラ越しに…必死にそう頼んだけれど…






由紀子さんは、切なげに首を横に何度も振った。







『弱みなんて握られてない。これが、あの子の今したいことなの。』

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