Sweet four seasons〜7

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臣side






「…臣さん…あの人…。」



「…うん。…俺らに聞こえるようにわざと言ったよね。」






通知は来ていないと分かっていながらスマホを覗いた。






…彼女は…






…新庄さんと今この瞬間一緒にいる。






…気持ちがざわざわしながらも…





「…とりあえず、見て回ろう。」

そう言って歩き出した時…







「そう言えば、聞いたよー長谷部くん。あの最後に飾られてる写真、すごい賞取ったんだって？」



「さすがですね。情報が早い。新庄は渋ったんですが、私の方で何点かコンクールに応募してみたんです。彼が一番気に入ってる写真が選ばれて…彼も喜ぶと思います。実は、丁度連絡が来た時にはもうここを出てしまっていて、まだ彼は知らないんですよ。」




2人の会話が聞こえてきた。









…









それを聞いていた岩ちゃんが、真っ直ぐに会場の奥へと歩き出した。








岩ちゃんも気づいたんだ。








新庄さんが彼女に見せたかった写真は…









きっと、一番奥の、一番気に入ってる写真だ。









誰もいない写真の前へ…








心拍数が上がるのを感じながら…









立ち止まった。









…









息が止まりそうだった。









右側で、岩ちゃんが拳を握りしめるのが見えた。









夕陽の中、Tシャツにジーンズ姿の女性がドクターコートを身につけて、首には聴診器を引っ掛けて、両手で小さな子供を抱き上げていた。

抱き上げられた子供は満面の笑み。

女性の顔は逆光ではっきり見えない。

それでも十分に女性が美しいと分かる写真だった。




これだけ見れば、この写真の主役はこの抱き上げられた子供だろう。






でも俺達には…






すぐに分かった。







これは、彼女を撮った写真だ。




彼女への想いがたった一枚で伝わってくる。







タイトルは

『one and only』







…『唯一無二』









…A




…これを見て




…君は…




…どんな気持ちになったの？

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